保育園ではお絵描き遊びを行うことも多いですよね。さまざまな技法があるなかで簡単なものを取り入れれば、1歳児や2歳児でもきれいな作品に仕上げることができますよ。今回は、保育に使えるお絵描き遊びのアイデアや、保育士さんのかかわり方のポイントなどを紹介します。あわせて、年齢別の描画の特徴についてもまとめました。
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■目次
保育園で行うお絵描き遊びのねらい
保育園で気軽に取り入れられる活動のひとつ、お絵描き遊び。
好きな色を使って自由に絵をかきながら、思いえがくイメージを表現して楽しむ子どもたちの姿が見られますよね。
保育園でお絵描き遊びをすることには、次に挙げるようなねらいが考えられるでしょう。
- お絵描き遊びを通して、表現するおもしろさを味わう
- 想像力を働かせながら、さまざまな素材を使ってお絵描き遊びを楽しむ
- 多彩な色を取り入れながらお絵描き遊びをすることで、色彩感覚を養う
保育園でお絵描き遊びをすることで、子どもの表現力や想像力を養うことが期待できるかもしれませんね。
お絵描き遊びはいつから楽しめる?
保育園では、いつからお絵描き遊びを導入できるのでしょうか。
保育士さんといっしょであれば、0歳児からクレヨンを使って自由に紙に色をつける活動を楽しめるでしょう。
また、フィンガーペインティングなどの技法を取り入れることで、乳児クラスの子どもも自由に表現しながら楽しめそうです。
では、お絵描き遊びに取り組む子どもには、どのような特徴がみられるのでしょうか。
保育士さんが活動のなかで意識したい援助のポイントと合わせて、年齢別に見ていきましょう。
【年齢別】お絵描き遊びに見られる子どもの特徴や援助のポイント
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年齢毎に見られるお絵描き遊びの特徴と、子どもの成長に合った指導のポイントをまとめました。
0歳児・1歳児
特徴
0歳児や1歳児頃は、クレヨンを紙に叩きつけるなどして、殴り書きをする様子が見られるかもしれません。
まだ好きなものなど目的を持ってえがくことはなく、思い思いの色を使ってお絵描き遊びに興味を示すでしょう。
援助のポイント
保育士さんが線や丸、点などの簡単な図形を楽しそうにえがく姿を見せれば、子どもが好きなものを絵で表すきっかけにつながるかもしれません。
また、子どもがクレヨンなどの画材を口にいれたり、友だちに向かって投げたりしないよう注意が必要です。
2歳児
特徴
2歳児頃では、自分のえがいた線や丸などを、好きな動物やキャラクターなどに見立てることもあるでしょう。
子どもがイメージを膨らませて、「グルグル」「ビューン」などの擬音を発したり、「これはママ」と絵の説明をしたりしながら、お絵描き遊びに夢中になる姿がみられるかもしれません。
援助のポイント
子どもが自分の好きなものを自由にえがけるよう、あらかじめ色々な画材を用意するとよいかもしれません。
保育士さんは子どもが活動しながら話す言葉を受け止めるとともに、自由に遊べる環境作りを意識してみましょう。
3歳児
特徴
3歳児頃は、自分の知っているものをイメージしながら、目的を持って絵をえがけるようになるでしょう。
身近にあるものを照らし合わせて色を選んだり、横線や縦線、丸や三角などを使い分けたりしながら、お絵描き遊びを楽しめるようになるかもしれません。
援助のポイント
子どもがかいた絵に対して、「これは何の絵かな?」と問いかけてみましょう。
子どもの答えを記しておくと、家庭に持ち帰った際に保護者が絵の意味を知ることができますね。
また、保育士さんがオリジナルの絵描き歌を取り入れて遊べば、子どもは歌詞を通していろいろな形に親しみながら、よりお絵描き遊びに興味が持てるかもしれません。
4歳児・5歳児
特徴
4歳児や5歳児クラスでは、経験したことや見た風景、身近な人などを思い出しながら絵をかけるようになるでしょう。
頭に手足がついている頭足人は、この時期に見られるようです。
また、植物や虫など、自然物を観察しながらえがけるようになるでしょう。
援助のポイント
4歳児や5歳児クラスでは、より鮮明なイメージを持ってお絵描き遊びに取り組むので、自分の思い通りに絵がかけずに悩む子どももいるかもしれません。
戸惑っている子どもには、保育士さんが「何色だったかな?どのような形をしているかな?」などと声をかけて、自発的に絵をかけるように援助しましょう。
このように、成長するにつれて子どもは徐々に意味を持った絵をえがけるようになるようです。
次より、さまざまな技法や小道具を用いたお絵描き遊びのアイデアを紹介します。
保育に取り入れたいお絵描き遊びの技法
まずは、お絵描き遊びがより楽しめるような、さまざまな技法をまとめました。
ちぎり絵
用意するもの
- 折り紙(茶・橙・肌色)
- 画用紙(茶・白)
- のり
ポイント
ちぎり絵の技法を楽しみながら、秋の製作にぴったりな落ち葉をえがいてみましょう。
あらかじめ保育士さんが木の幹をかいた画用紙を準備しておけば、1歳児や2歳児などの乳児クラスでも取り組めそうです。(詳しい作り方はこちら)
砂絵
用意するもの
- 砂(適量)
- パステル(好きな色)
- 画用紙(1枚)
- 接着剤
- カッター
ポイント
5歳児クラスでは、砂を使って立体的な絵をえがく砂絵に挑戦してみましょう。
先が細いタイプの接着剤を使うと、自分の思い通りの絵に仕上がりやすいかもしれません。
中を塗りつぶしたい箇所では先が太いタイプの接着剤を選ぶなどして、使い分けるとよいかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
スクラッチアート
用意するもの
- クレヨン一式(油が多いもの)
- 画用紙(白)
- 割りばし(1本)
ポイント
3歳児から楽しめるスクラッチアートで、お絵描き遊びをしてみましょう。
いろいろな色のクレヨンを使ってカラフルに塗っておくと、ひっかいたときにきれいな色が浮かび上がりそうです。
割りばしを舐めたり友だちに向けたりしないよう、あらかじめ子どもと約束をしましょう。(詳しい作り方はこちら)
スパッタリング
用意するもの
- 茶こし
- 絵の具
- 画用紙(台紙用・切り抜き型用)
ポイント
少し複雑な作業なので、スパッタリングは手先が器用になってくる4歳児から5歳児向けのお絵描き遊びです。
いろいろな形の型を用意すると、子どもが夢中になって活動できるかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
はじき絵
用意するもの
- ろうそく(白)
- 画用紙
- 絵の具
- 筆
- 水
ポイント
2〜3歳児から楽しめるはじき絵の技法を使って、不思議なお絵描き遊びを楽しみましょう。
ろうそくでえがかれた透明な絵が浮かびあがる様子を見て、子どもは驚くかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
吹き絵
用意するもの
- ストロー(1本)
- 画用紙
- 工作用紙(新聞紙でも可)
- 絵の具
- 筆
ポイント
吹く息の強さを変えるなど、吹き方によりさまざまな模様をえがける吹き絵。
4歳児や5歳児クラスで取り入れれば、いろいろな方向からストローで息を吹きかけるなど工夫しながら楽しめるでしょう。
さまざまな色が混ざり合って変色する様子を観察しながら、どのような模様に仕上がるのか楽しみですね。(詳しい作り方はこちら)
道具を活用するお絵描き遊びのアイデア
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次に、道具を使って楽しめるお絵描き遊びを紹介します。
タンポでお絵描き
用意するもの
- 木の描かれた画用紙
- ガーゼ(1枚)
- 脱脂綿(1枚)
- 絵の具(黄色、橙色)
- 輪ゴム
ポイント
タンポは握りやすく、スタンプを押すことでお絵描き遊びができるので、保育士さんといっしょに0歳児から楽しめます。
指を使って色づけするフィンガーペインティングの技法を用いてみれば、乳児クラスの子どもが夢中になりそうですね。
ピンク色の絵の具を使って木に桜をえがき、春の製作に活用するのもよさそうです。(詳しい作り方はこちら)
綿棒でお絵描き
用意するもの
- 綿棒(数本)
- 輪ゴム
- 画用紙
- 絵の具(3色)
- ペンや色鉛筆
ポイント
綿棒を使ってお絵描き遊びを楽しみましょう。
3歳児からは、花の形をイメージしながら色づけできるかもしれません。
綿棒をふわふわにしてから着色すると、やわらかい雰囲気の絵に仕上がりますよ。
花以外にも、子どもの自由な発想で好きな絵をかいてもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
卵の殻でお絵描き
用意するもの
- 卵の殻(3個程度)
- アクリル絵の具
- 画用紙(1枚)
- 筆
- ダンボール
- 鉛筆
- 接着剤
ポイント
卵の殻を接着剤で貼り合わせる作業は手先の細やかな動きが必要なため、5歳児クラスでチャレンジしてみましょう。
画用紙にあまり複雑な絵をかかないようにし、卵の殻を大きめに割っておくと製作しやすいかもしれません。
いろいろな色の絵の具を使えば、カラフルなモザイクアートに仕上がりそうですね。(詳しい作り方はこちら)
ビー玉でお絵描き
用意するもの
- ティッシュ箱(1個)
- ハガキサイズの画用紙(10cm×14.8cm 1枚)
- 絵の具(好きな色)
- ビー玉(3~4個)
- ゴム手袋
- はさみ
ポイント
あらかじめ保育士さんがティッシュ箱の上部を切り抜いておけば、3歳児から取り組めそうです。
活動前に絵の具を使わずビー玉を転がして遊べば、身近な玩具をお絵描き遊びに活用できることに子どもはビックリするかもしれません。
ビー玉をコロコロ転がしすぎると黒っぽくなってしまうので、「ビー玉を5回転がしてみよう。」「次は10回転がしてみよう。」と回数を決めて行ってもよいでしょう。(詳しい作り方はこちら)
シャボン玉でお絵描き
用意するもの
- シャボン玉液
- 皿
- 水彩絵の具
- 棒
- 画用紙
ポイント
3歳児くらいから取り組める製作です。
シャボン玉を使ってブクブクと泡を作る工程は、子どもが夢中になるかもしれません。
息を吐くときは、誤ってシャボン玉を吸わないよう子どもたちに声をかけましょう。
今回紹介している魚以外にも、季節に合わせて花のモチーフを作って壁面装飾にしてもすてきですね。(詳しい作り方はこちら)
保育にお絵描き遊びを取り入れて、子どもの表現力や想像力を育もう
今回は、保育に使えるお絵描き遊びについて、さまざまな技法やアイデアを紹介しました。
お絵描き遊びには、さまざまな素材を使ってえがくというねらいがあるようです。
いつから保育に取り入れられるかは技法によって異なりますが、保育士さんがいっしょに行ったりスタンプなどを用いたりすれば、0歳児から楽しめるでしょう。
今回紹介したアイデアを参考に、卵の殻やビー玉、シャボン玉などを活用すると、子どもがお絵描き遊びにより興味を持てるかもしれません。
子どもが表現力や想像力を働かせながら取り組めるよう、遊び方を工夫しながら保育に取り入れてみてくださいね。
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