毎年秋ごろに行なわれる保育士さんの意向調査。今の職場に特に不満や悩みがない場合は問題ありませんが、少しでも悩みを抱えている場合は別の園への転職や系列園への異動を検討してみるとよいでしょう。今回は、保育士さんの意向調査の概要や目的、実施される時期などを解説します。また、意向を伝える調査書の書き方も確認しておきましょう。
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■目次
保育士向けに行なわれる意向調査とは
そもそも保育士の意向調査とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、概要や目的を確認しておきましょう。
意向調査の概要や目的
職場で行なわれる意向調査とは、保育園が職員の次年度の進退について調査する機会です。
保育園側は、意向調査を通して保育士さんが次年度も就業を継続するのか、あるいは異動や退職を希望しているのかを把握し、その内容をもとに面談などをして人事を決定しています。
つまり、保育士さんにとっては意向調査が自身の進退を伝えるひとつのタイミングといえるでしょう。
保育士さんは意向調査で何を伝えるの?
保育士さんは、意向調査で主に以下の3つを伝えることが多いよう。
1.就業を継続する意思
2.系列園や本部などへの異動希望
3.退職の意向
ほかにも、体調不良などで一定期間の休職を申し出るケースもあるかもしれません。なかでも異動や退職の希望はなかなか切り出しにくいものですが、意向調査の機会を利用して伝えてみましょう。
意向調査が実施される時期
園によって異なりますが、大体9月から12月までの秋から冬にかけて意向調査が行なわれることが多いようです。
なかには年に2回実施するところもあるようで、この場合は秋~冬に加え、春ごろに行なわれることが多いといいます。
意向調査で悩んだら、自分の考えを整理してみよう!
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保育士さんのなかには、意向調査で何と答えようか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。悩むということは、来年も働き続けることに迷いがある状態です。
以下のステップに沿って自身の考えを整理して、継続か退職か、あるいは異動の希望を出すのかを決めましょう。
STEP1:悩んでいる理由を書き出してみる
まずは、自分のなかで何が引っかかっているのかを書き出してみましょう。保育士さんが不満を感じるポイントとして多く挙げられるものを以下にまとめてみました。
- 給与・待遇
- 仕事量
- 勤務スタイル
- 休みの取りやすさ
- 人間関係
- 保育のやり方
上記以外にも、「持ち帰り仕事が当たり前になっているのが辛い」「手書きの事務作業が多くて大変」など、今の職場に対する具体的な改善ポイントが出てくるかもしれません。
悩んでいる理由が複数ある場合は、なかでも自分が最も不満に感じているのは何かを明確にし、順位をつけてみましょう。
STEP2:悩んでいる理由を解決する方法を考えてみる
どうしたらSTEP1で書きだした不満を解決できるかを考えてみましょう。たとえば「給与の低さ」が要因の場合、「仕事量や立場に見合っていない」のか「そもそもの金額が安い」のかによって解消法は異なります。
まずそもそもの金額が低い場合は、「今の園でキャリアアップする」や「今より給料が高い園に転職する」といった解決策があります。
一方、仕事量や立場に見合っていないと感じる場合は、「仕事に見合う給料を支払う園に転職する」もしくは「今の園で仕事量を減らしてもらえないか交渉する」などの方法があるでしょう。
ほかにも、「仕事量の多さ」がネックなのであれば、「今の園で正社員からパートに雇用形態を変える」や「人員配置にゆとりのある園に異動・転職する」などの解決策もあります。
自分が不満を感じている理由をさらに深掘りして、どうすれば解決できるのかを考えてみましょう。
STEP3:解決策をもとに今後の進路を決める
自分で考えてみた解決策をもとにして、今後どうするのかを決めます。もし今の園で働き続けながら解決が見込めそうな場合は、次年度も続ける旨を伝えてもよいでしょう。
一方、別の職場で働くことで不満が解消されそうな場合は、系列園や運営本部への異動、あるいは別の園への転職を検討してみてもよいかもしれません。
新しい環境で働いたほうが自身の将来にとってプラスであると判断した場合は、勇気を持って意向を伝えることが大切です。上手な伝え方がわからない保育士さんは、転職エージェントに相談してアドバイスをもらうのがおすすめです。
意向調査で異動や退職を伝えるときに知っておきたいこと
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意向調査で異動や退職の意向を伝えるときは、年度終わりまでは今の職場で働き続けることを考えて、円満退職ができるような伝え方を意識するようにしましょう。
前向きな異動・退職希望の理由を伝える
異動や退職を希望する理由は、ポジティブな内容で伝えましょう。
たとえば、人間関係の複雑さが理由で異動を願い出る場合、そのまま「今の園は人間関係がよくないので」と伝えると、異動しても同じような問題を抱える可能性があると判断され、結果的に希望が通らない可能性があります。
また、退職を申し出る際にネガティブな理由を伝えると、「そこは改善するから」と引き止めに合うことも少なくありません。嘘をつく必要はありませんが、前向きな印象を与えられるよう伝え方を工夫することが大切です。
異動の希望は通らないこともある
異動の希望は、100%叶えてもらえるわけではないことを覚えておきましょう。希望先の園の保育士さんが充足していたり、理由に納得してもらえなかったりした場合は異動が難しいこともあるからです。
そのため、申し出るときは、園側に「この人は異動させた方がよい」と判断してもらえるよう内容に説得力を持たせることがポイントです。
退職を申し出る場合は日付もあわせて伝える
退職することを決めたら、具体的な退職日を伝えましょう。園側は意向調査の結果を次年度の人事に反映させるため、年度末まで働いてくれるのか、それとも年度途中で辞めるのかを知りたがっています。
いつまで働くのかによって今後の人員配置が変わってくるため、退職日を明確にするとスムーズでしょう。
【見本あり】保育士の意向調査書の書き方
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一般的に、保育園での意向調査は面談形式で行なわれることが多いといいます。
基本的に書類に記入するケースは少なく口頭での申告がほとんどですが、異動を希望する場合は「意向調査書」「異動願い」と呼ばれる書面を提出して申し出ることも可能です。
ここでは、異動の希望を伝える意向調査の書き方を、見本とあわせて紹介します。
意向調査に記載する内容
異動の希望を出す場合、以下の内容を記しましょう。
- 提出日
- 提出先
- 氏名フルネーム・捺印
- 件名と主文
- 所属園や部署名と所属期間
- 希望する異動先
- 異動希望時期
- 異動を希望する理由
用紙はA4が一般的です。パソコンなどで作成し、印刷して持参しましょう。
意向調査の書き方見本
意向調査は以下の見本を参考に作成してみてくださいね。
保育士の意向調査で迷うことがある場合は転職を視野に入れてみよう
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意向調査について考えたときに、何かしら悩みがある場合は別の施設への転職を考えてみるとよいでしょう。
保育士資格を活かせる職場は保育園以外にも、認定こども園や病児保育、ベビーシッターなど、たくさんあります。また、福祉施設、一般企業などでも保育士さんを募集しているところもあるので求人情報を調べてみるといいでしょう。
施設によって給料や休日など待遇面がまったく違うので、自分に合う求人が見つかるかもしれませんよ。
保育士バンク!では、保育士さんの就職・転職に向けたサポートを行なっています。専門のキャリアアドバイザーがたくさんある求人の中から、あなたのご希望に合う仕事をご紹介いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
意向調査の時期が来るまでに自分の意思を固めておこう
9月から12月までの時期に行なわれる意向調査では、次年度の進退について問われます。事前にいろいろと考えておき、退職や転職をすることが決まったら、早めに自分の意思を固めておきましょう。
そして、意向調査で退職を希望していることを伝えたあとは次の職場を探すための行動に移すことが大切です。保育士バンク!では、意向調査後に転職を検討している保育士さんたちの転職活動のサポートを行なっていますのでこの機会にぜひご相談ください。