エッセンシャルワーカーとは?【2026版】社会を支える12職種と人材不足の課題

    エッセンシャルワーカーとは、医療・介護・保育・物流など、日常生活を維持するために欠かせない仕事に就く人のことです。コロナ禍をきっかけに広く知られるようになりました。今回は代表的な職種一覧から賃金などの課題、保育士を例にエッセンシャルワーカ―を取り巻く環境についてわかりやすく解説します。

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    この記事でわかること
    • エッセンシャルワーカーとはどんな人?わかりやすく解説 ▼詳細
    • エッセンシャルワーカーの代表的な職種一覧 ▼詳細
    • エッセンシャルワーカーが抱える3つの課題 ▼詳細

    目次

    エッセンシャルワーカーとは「私たちの生活に必要不可欠な仕事に就く人のこと」

    エッセンシャルワーカーの「エッセンシャル(essential)」は、英語で「欠くことのできない」「必要不可欠な」という意味を持つ言葉です。

    つまり、エッセンシャルワーカーとは、人々の日常生活を維持するために欠かせない仕事に従事する人を指します。

    日本語では「生活必須職従事者」や「社会機能維持者」と訳されることもあります。

    エッセンシャルワーカーという言葉が日本で広く知られるようになったのは、2020年の新型コロナウイルス感染拡大がきっかけです。

    緊急事態宣言のもと行動制限が続くなかでも、医療従事者、介護職員、保育士、物流スタッフ、スーパーの店員の方々が現場に出て、人々の暮らしを支え続けてくれました。

    その姿に多くの人が感謝の気持ちを示したことで、エッセンシャルワーカーという言葉は一気に広まりました。

    厚生労働省は「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」と位置づけた

    実は、エッセンシャルワーカーには法律上の明確な定義があるわけではありません。

    ただし、厚生労働省はコロナ禍において「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」として通知を出しており、日本におけるエッセンシャルワーカーの公的な位置づけのひとつになっています。

    ポイントは、テレワークでは代替できない仕事であるということ。

    現場に出向き、人と接しながら業務にあたる必要がある職種が、エッセンシャルワーカーの中核を成しています。保育や医療、物流も画面越しでは成り立たない仕事です。

    ブルーカラー・ホワイトカラーとの違いは「分類の軸」が異なる

    エッセンシャルワーカーと似たような文脈で、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。それぞれの違いを紹介します。

    ブルーカラー

    現場での肉体労働に従事する職種

    • ・建設作業員・とび職
    • ・工場の製造ライン作業員
    • ・自動車整備士
    • ・トラック運転手・配達員
    • ・農業・漁業などの一次産業従事者

    ホワイトカラー

    オフィスで事務作業を行う職種

    • ・一般事務・経理・人事
    • ・営業職
    • ・企画・マーケティング職
    • ・ITエンジニア・プログラマー
    • ・銀行員・コンサルタント

    エッセンシャルワーカーは「社会の維持にとって不可欠かどうか」で分けた呼び方です。

    ブルーカラーにもホワイトカラーにもエッセンシャルワーカーは存在するので、混同しないようにしましょう。

    エッセンシャルワーカーの代表的な職種一覧

    エッセンシャルワーカーに該当する職種は幅広く、明確な線引きがあるわけではありません。

    ここでは、多くの場面でエッセンシャルワーカーとして挙げられる代表的な職種を紹介します。

    医療従事者(医師・看護師・薬剤師など)

    私たちの命と健康を最前線で守っているのが医療従事者です。医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師など、多くの専門職が連携して医療を支えています。

    感染症のリスクと常に隣り合わせの環境で、緊張感を持ちながら業務にあたっている点は、まさにエッセンシャルワーカーの代表格といえるでしょう。

    介護・福祉職(介護福祉士・ケアマネジャーなど)

    高齢者施設や障がい者支援施設で働く介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員なども、社会を支える存在です。

    利用者との身体的な接触が避けられない仕事であり、テレワークへの切り替えが最も難しい領域のひとつです。

    厚生労働省の推計によると、2025年度には約243万人の介護人材が必要とされており、人材確保は喫緊の課題となっています。

    保育士

    子どもの命と成長を預かる保育士も、エッセンシャルワーカーのひとりです。

    保育園、認定こども園、企業主導型保育所などで0歳〜5歳児の保育にあたるほか、保護者との連携や地域との協力など、その業務は多岐にわたります。

    子どもの安全確保はもちろん、食事、排泄、睡眠のサポートから遊びの計画まで、どれも画面越しではできない仕事ばかりです。

    待機児童数は年々減少傾向にあるものの、受け皿となる保育士が足りていないのが現状です。

    保育の質を支えるためには、保育士一人ひとりの存在がまさに「必要不可欠」なのです。

    保育士もエッセンシャルワーカーの一人!
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    教育関係者(幼稚園教諭・小中高の教諭など)

    子どもの成長に関わる教育者もエッセンシャルワーカーです。

    コロナ禍ではリモート授業が導入されましたが、集団生活を通じた学びや、先生と生徒の対面でのやり取りには、オンラインでは補えない教育的な意味があります。

    文部科学省も対面指導の重要性を繰り返し示しており、教育者は今後も現場に欠かせない存在であり続けるでしょう。

    警察官・消防士・自衛官などの公務員

    地域の安全を24時間体制で守る警察官、消防士、自衛官、市役所や区役所の窓口で住民サービスを提供する職員などもエッセンシャルワーカーです。

    いずれも専門知識が必要なため、急に人員を増やすことが難しく、慢性的な人手不足が課題になりやすい職種でもあります。

    物流・運輸業(トラックドライバー・郵便配達員など)

    ネットで注文した商品が翌日届くのも、スーパーの棚に食品が並ぶのも、物流を担う人たちがいるからこそ。

    トラックドライバー、郵便配達員、倉庫作業員などは、社会の物流を支える存在です。

    2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、いわゆる「2024年問題」としてドライバー不足がさらに深刻化しています。

    小売業(スーパー・コンビニ・ドラッグストアなど)

    日々の買い物を支えてくれるスーパー、コンビニ、ドラッグストアの店員さんは、私たちにとって最も身近なエッセンシャルワーカーかもしれません。

    非正規雇用の割合が高く、賃金の低さが長年の課題とされてきましたが、同一労働同一賃金の法整備なども進み、パート従業員の賃上げに踏み切る企業も出てきています。

    生活インフラの維持に関わる職種(電気・水道・ガス・通信など)

    電気、水道、ガス、通信といったライフラインの維持に携わる技術者は、暮らしの土台を支えるエッセンシャルワーカーです。バスや電車の運転士もこのカテゴリに含まれます。

    ライフラインは止めるわけにいかないため、災害時や非常事態でも迅速な復旧が求められる、緊急性の高い仕事です。

    第一次産業(農業・漁業・林業)

    食の安全保障を担う農業、漁業、林業の従事者もエッセンシャルワーカーです。

    収穫や漁のタイミングは待ってくれないため、業務を一時的に止めることが大きな損害につながります。

    担い手の高齢化と人材流出が進んでおり、農林水産省も継続的に支援策を打ち出しています。

    金融機関(銀行・信用金庫など)

    銀行や信用金庫といった金融機関も、経済活動を支えるインフラとして欠かせない存在です。

    対面接客の時間が長い職種であり、窓口業務が止まればビジネスにも大きな影響が出るでしょう。

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    エッセンシャルワーカーが抱える3つの課題

    エッセンシャルワーカーは社会にとって不可欠な存在でありながら、長年にわたっていくつかの課題を抱えてきました。

    ここでは、特に大きな3つの課題を紹介します。

    賃金が仕事の負荷に見合っていない

    エッセンシャルワーカーに共通する課題として、まず挙がるのが賃金の問題です。

    たとえば保育士の場合、厚生労働省の「2025年度賃金構造基本統計調査」によると平均年収は約407万円(2024年の数値)。

    一方、全職種の平均年収は約460万円(国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」)で、60万円以上の開きがあります。

    人の命や暮らしに直結する仕事をしているにもかかわらず、その責任の重さに見合った報酬が得られていない。これは保育士に限らず、介護職や小売業など多くのエッセンシャルワーカーに共通する構造的な問題です。

    背景には、非正規雇用の比率が高いことや、公定価格のなかで人件費が決まるため園や施設の裁量だけでは大幅な賃上げが難しいという事情もあります。

    慢性的な人手不足が現場の負担を大きくしている

    エッセンシャルワーカーの多くは、慢性的な人手不足に悩んでいます。

    保育分野でいえば、待機児童の受け皿となる施設は増えているものの、そこで働く保育士が十分に確保できていないのが現実です。

    また、医療や福祉分野においても人材不足が深刻化しています。

    少子高齢化のなか、高齢者が増えれば医療・介護・福祉の需要はどんどん高まり、「支える人」が減る一方、「支えを必要とする人」が増えるという構造的なギャップが生じているのです。

    感情労働によるメンタルヘルスの負担が大きい

    エッセンシャルワーカーの仕事は、体力だけでなく、メンタル的に負担になる場面も少なくありません。

    保育士であれば、子どもの前では常に笑顔で、保護者の不安や要望に丁寧に対応すること。

    同僚との関係をうまく調整することも必要になります。

    こうした「感情のコントロール」を日常的に求められる仕事は「感情労働」と呼ばれ、メンタルヘルスの不調につながりやすいとされています。

    そのため、組織としてのメンタルケア体制の整備は、人材の定着という意味でも欠かせない取り組みです。

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      保育士はエッセンシャルワーカーとして処遇改善が着実に進んでいる

      ここまでエッセンシャルワーカー全般の課題を見てきましたが、保育士を例に実情を見ていきましょう。

      「給料が低い」というイメージが根強い保育士ですが、実際のデータを見ると、着実に環境が変化していることがわかります。

      保育士の平均年収は10年で約100万円アップしている

      厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は2013年の約310万円から、2024年度には約407万円まで上昇しています。

      10年あまりで約100万円のアップしているのがわかります。

      賃金の上昇を支えているのが、国の処遇改善等加算制度です。

      2013年にスタートした処遇改善手当の導入以降、段階的に賃金の引き上げが行われてきました。

      そして2024年度には人件費10.7%という過去最大の引き上げが実施され、2026年度にはさらに約5.3%の追加引き上げが予定されています。

      こども家庭庁によると、2026年度の改善により1人あたり年間約20万円の収入増が見込まれています。

      2025年4月から処遇改善等加算制度が新しい仕組みに再編された

      処遇改善等加算は3種類に分かれていましたが、「複雑すぎてわかりにくい」「事務負担が大きい」という現場の声を受け、2025年4月から新しい仕組みに一本化されました。

      新制度は以下の3つの区分で構成されています。

      区分

      従来の制度と基本的な趣旨は変わりませんが、手続きが簡素化されたことで、施設側の事務負担が軽減される見込みです。

      保育士にとっては、確実に給与に反映されやすくなるという変化です。

      キャリアアップ研修を受けると月額最大4万円の手当が加算される

      保育士の給与を上げる具体的な方法として知っておきたいのが、キャリアアップ研修制度です。

      2017年に厚生労働省が創設したもので、乳児保育や障害児保育など分野別の研修を受講し、一定の要件を満たすことで役職に就くことができます。

      具体的には、副主任保育士・専門リーダーになると月額最大4万円の加算、職務分野別リーダーになると月額5,000円の加算が受けられます。

      「経験年数を重ねて、研修を受けて、役職に就く」というステップが明確になっているので、「このまま何年働いても給料が変わらないのでは」という不安を感じている方は、まずキャリアアップ研修の受講を検討してみてください。

      宿舎借り上げ支援事業など自治体独自のサポートもある

      国の処遇改善に加えて、自治体ごとに独自の支援策を用意しているケースも多くあります。

      代表的なのが「保育士宿舎借り上げ支援事業」です。

      保育園を運営する事業者が保育士のためにアパートやマンションを借りる場合に、国や自治体がその家賃を補助する制度です。

      たとえば、東京都では月額最大8万2,000円の補助基準が設けられており、実質的に家賃がほぼかからなくなるケースもあります。

      さらに2026年4月から東京では、家賃補助の対象が保育士だけでなく、学童保育(放課後児童クラブ)の指導員にも広がる動きが始まっています。

      処遇改善加算だけでなく、こうした住居支援も含めてトータルで考えると、保育士や学童指導員の実質的な待遇はかなり改善されてきています。

      これから職場を探す方は、家賃補助の制度も活用できるかがチェックポイントのひとつです。

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      東京の借り上げ制度について聞く

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      エッセンシャルワーカーに関するよくある質問Q&A

      エッセンシャルワーカーについての疑問をまとめました。

      Q.エッセンシャルワーカーに明確な資格要件はないですか?

      A.エッセンシャルワーカーは、特定の資格や法律で定められたカテゴリではありません。

      医師や看護師、保育士のように国家資格が必要な職種もあれば、コンビニの店員やトラックドライバーのように特別な資格がなくても該当する職種もあります。

      共通しているのは、「その仕事が止まると人々の暮らしに支障が出る」という点です。

      Q.エッセンシャルワーカーの対義語はありますか?

      A.エッセンシャルワーカーの対義語として、「オフィスワーカー」や「ナレッジワーカー(知識労働者)」が使われることがありますが、広く定まった対義語はないようです。

      注意したいのは、エッセンシャルワーカー以外の仕事が「不要」という意味ではないということ。

      あくまでも、社会インフラとしての不可欠性を軸にした分類であり、どの仕事にもそれぞれの価値があります。

      Q.保育士を取り巻く今後の環境の変化はありますか?

      A.保育士を取り巻く環境は、改善の方向に向かっています。

      処遇改善は2026年度も継続予定で、賃金の上昇傾向は今後もしばらく続く見通しです。

      また、ICT化による業務効率化(登降園管理や保護者連絡のデジタル化など)も進んでおり、書類作業の負担軽減も期待されています。

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      エッセンシャルワーカーとしての価値を知り、自分のキャリアを前向きに考えよう

      エッセンシャルワーカーとは、社会生活の維持に必要不可欠な仕事に就く人のことであり、保育士はその代表的な存在であること。

      賃金や人材不足などの課題は依然としてあるものの、国の処遇改善策は年々充実しており、保育士の年収は10年で約100万円上昇しているというデータもあります。

      これから保育士として働きたい方は、キャリアアップ研修や宿舎借り上げ支援事業など、活用できる制度を知っておくことで、自分の手で待遇を改善できる余地があるということです。

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