保育士資格は、さまざまな立場・年齢・職業の人が取得をめざしています。学校に通うことが難しい場合に、自宅で勉強できる通信制を選ぶ方も増えていますが、『通信制大学』と『通信教育（講座）』の選択肢があり、どちらを選ぶかは悩ましいところです。この2つのそれぞれの特徴や、通信制で資格を取得するメリット・デメリットについてまとめました。
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■目次
【保育士資格の取得】通信制ではどう変わる？
保育士は国家資格であるため、資格取得には次の2つの方法があります。
- 保育士になる課程のある専門学校・短期大学・4年制大学を卒業する
- 保育士資格試験に合格する
この通信制大学・短大と通信教育（講座）は、通学せずに学習できる環境は同じですが、保育士資格取得にあたって、以下の大きな違いがあります。
- 通信制大学・短大
卒業と同時に大学卒業資格と保育士資格を取得できる
- 通信教育（講座）
保育士資格取得の講座修了後、国家試験を受験し合格する必要がある
さらに上記で挙げられている取得方法の違い以外にも、次のような面で大きな差が出てきます。
- 学習期間
- 費用
- カリキュラム（スクーリングの有無など）
この通信制大学・短大と通信教育（講座）の違いを詳しく見てみましょう。
通信制の大学・短大で保育士資格を取得！
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通信制大学とは、「働きながら勉強したい」「事情があって通学が難しい」という、キャンパスへは定期的に通えないさまざまな事情がある人への学習ニーズに応えるべくつくられた教育課程です。
通信制大学・短大で得られる資格
通信制大学・短大で学んだ場合は以下のようになります。
- 通学制大学と同じ学士・資格取得が可能
- 「指定保育士養成施設」は卒業と同時に保育士資格取得
通信制大学（大学通信教育）は、文部省（文部科学省）に認可された正規の大学教育です。
卒業すれば通学制大学と同じ学士や資格が自動的に得られます。
しかし、大学によっては、学士はとれますが、保育士資格取得が含まれない場合もあります。
これは、通信制の中でも、厚生労働省が「指定保育士養成施設」に指定した大学のみが、卒業と同時に保育士資格を取得できるようになっているからです。
そのため、指定外の大学では、卒業後に改めて国家試験を受験しなければなりません。
なお、指定外の大学の通信課程には、スクーリング（対面授業）がない、追加費用がかからない、卒業しやすいといったメリットがある場合もあります。
学校を選ぶ際には、卒業と同時の資格取得を目指すのか、自分の生活スタイルなどにあわせて学習しやすさなどの利点を優先するのか、慎重に検討することが大切です。
通信制大学の勉強期間
多くの通信制大学は、在学期間に、実際にキャンパスで対面での講義を受ける「スクーリング」と、自宅で送られてくるテキストを元にした「在宅学習」の併用で学びます。
講義後はレポートを提出し、通信添削の結果と単位取得認定試験に合格したうえで、卒業に必要な124単位以上を取得すれば、卒業資格が得られます。
学習は短大で3年、4年制で4年が最短期間ですが、過去に大学・短大での取得単位がある場合は、途中編入できることもあります。
取得単位数によって学習期間は少なくなり、最短2年で保育士資格を取得できることもあります。
入学時期は、4月と10月の年2回設けている学校が多いですが、なかには年1回の大学もあるので事前に確認しましょう。
通信制大学の入試
入学にあたっては、書類選考のみで入学試験はない大学が多いようです。
一部大学では小論文の提出や面接を設けている場合もあるので、受験対策が必要な場合もあります。
通信制大学の学費
通信制大学の学費は、4年制でおよそ80～100万円ほどが相場のようです。
同様に通学制での4年制大学の学費は、平均400万円以上という現状と比較すると、通信制は通学制の1/4程度の費用となります。
通信制大学に通った場合、4年間でかかる平均的な費用の内訳は以下のようになります（一例）
| 入学時納付金 | 50000～80000円 |
| スクーリング費用 | 8000円×履修科目数（30単位） |
| 資格科目履修費 | 5000～6000円×履修科目数（94単位） |
| その他 | 教材費、交通費、実習費、補助教材費など |
スクーリングがある場合は、スクーリングの交通費、実習費、補助教材費などが別途必要になります。また、この際には遠方の方であれば宿泊費などがかかることも想定されます。
どこまで自費負担になるかは大学によって異なります。
通信制大学の卒業率
通信制大学は働きながら学ぶ人が多く、スクーリング以外はほぼ自学自習のスタイルです。
卒業する意思を固く持たないと卒業率が極めて低く、以前は10~20%と言われてきました。
また、働きながらの場合は学習時間を確保できずに4年で卒業できない場合もあります。
現在は卒業率を高めるためのカリキュラムを工夫する大学が増えており、eラーニングなどを積極的に導入し、卒業率が50～70％程度まで上がっている通信制大学も増えています。
通信教育（講座）で保育士資格を取得！
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通信教育（通信講座）とは、テキスト教材を購入して独学で行なう勉強法です。
定期的に郵送やメールで課題を提出し、担当講師がアドバイスを添えて添削・返却するといった学習方法をとっている講座が主になります。
受講者は返却された答案から間違いを見直し、自学自習で学びながら、保育士資格を取るための国家試験に向け、学習していきます。
通信教育（講座）の学習スタイル
通信教育のテキストは国家試験対策に特化して作られているため、自分で参考書をそろえる手間が省けるかもしれません。
基本的には完全独学スタイルのため、通学が難しい人にとっては自分のペースで保育士資格を目指すことが可能ですが、最近では、通信だけで補えない実技試験対策のためのスクーリングや、独学ではモチベーションを維持できない人のための特別講座を設けるコースも増えてきています。
受講期間は1～2年間が一般的です。
多くは教材が一括で届き、興味のある教科から始めるなど自分のペースで勉強を進めることができます。進行次第では短期間で終えることも可能で、最短で3～6カ月の勉強期間で取得する人も。
多くの通信講座は添削課題を設けており、提出した課題を講師に添削してもらい、見直すことで弱点を克服するシステムとなっています。
疑問点や質問は通常はメール・郵便などで対応するほか、eラーニングのコースを設けている講座では、オンラインを通じて直接講師に質問することが可能な場合もあります。
通信教育（講座）の費用
通信教育の費用は、選ぶ教科・一部通学制を利用するなど、コースや形態によって変わってきます。
一般的には、講座数ごとの教材費が主な内訳で約5万円からが相場ですが、教科数や特別講座の選択によっては30万円程度になることもあるようです。
それであっても、通学制や通信制の大学・専門学校と比べると安い費用で済むことは大きな魅力のひとつです。
通信教育（講座）の国家試験合格率
厚生労働省が年2回発表している保育士試験の全教科合格者の割合は、令和4年度では30％前後となっています。
通信教育で国家試験の合格を目指した場合、通信教育各社が発表している全試験合格率はおよそ50％前後で、一部教科の合格は30～40％前後と低くない合格率となっているようです。
試験は1年間に2回受験でき、合格科目は3年間持ち越しができるので、自分の学習ペースで全教科合格を目指すことができます。
通信制で保育士を目指すメリット
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通信制大学・短大や通信教育（講座）で資格取得を目指す際のメリットをまとめました。
- 通学できない環境でも資格取得が目指せる
- 学費・費用が通学制学校に比べ安い
- 自分のペースで学習できる
- 他の資格取得と並行して学習が可能
自由に学べるメリット
通信制大学は社会人が仕事をしながら、また妊娠・育児などと並行しながら、大学卒業資格と保育士資格取得を目指すことができます。
通信講座も同様に、定期的な通学やスクーリングが難しい環境の人でも、勉強時間を自由に確保できるよう配慮されています。
また、資格取得に特化したカリキュラムが組まれているため、自分の希望に沿った学科・講座を自由に選べることで、時間を有効に使うことにもつながります。
教科への理解度が早ければ、通学制より早く勉強を終えることも可能です。これを利用して、保育士資格以外の勉強と並行して進める人もいるようです。
学費・コスト面でのメリット
ともに費用は通学制の学校に入学するより安いことも大きな魅力です。
大学や短大、専門学校などの通学制の学費はキャンパスの維持費や設備費なども学費に含まれますが、特に通信講座などは、費用は教材費が主ですので、その分コストを気にせず勉強にのぞむことができます。
通信制で保育士を目指すデメリット
通信制は、自分に合った学習方法を選択しないと、資格取得までの道のりが困難なケースが生じる可能性もあります。主なデメリットは以下になります。
- 卒業・修了後に国家試験に合格しないと資格が取得できない場合がある
- 独学で学ぶための意思の強さが必要
- 学習時間の確保
- 勉強内容が難解な場合の打開策が見えづらい
国家試験を受験する必要がある
卒業すれば資格取得が可能な大学・専門学校と違って、通信教育では全講座課程を修了しても、国家試験に全教科合格しないと保育士資格を取得できません。
また、通信制大学であっても、学校によっては卒業だけでは保育士資格が取れない学校があります。
独学が向いていないタイプには厳しい側面も
授業時間が決まっている通学制と違って、クラスメートなどいっしょに学ぶ人がいないことや、自主的に勉強する時間を確保するなど、自分ひとりの力で勉強を続けるモチベーションを保つ必要があります。
ほかにも、仕事や子育てなどと並行して学習時間を確保するのは困難になる時期があったり、学習内容や教科によっては、独学での理解が難しい課程が出てきたりといった弊害も。
疑問点の解決においては直接質問ができず、多くが講師や添削員とメールまたは郵便でのやりとりになるため、解決や理解に時間がかかることも大きなネックのひとつです。
上記のようなデメリットもふまえた上で、保育士資格の取得方法を検討したいですね。
出典：私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について／文部科学省
ライフスタイルに合わせて保育士資格を取得しよう！
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自由な時間・場所で勉強できる通信での独学スタイルは、社会人や子育て中、他の勉強と並行して資格取得を目指したいという方にとっては最適な資格取得への近道です。
通信制大学と通信教育では資格取得の課程や勉強期間、費用面で大きな違いがあるため、どの勉強方法が自分のライフスタイルや性格に向いているのかの見極めが重要になります。
自分にあった資格取得方法を慎重に選んで、無理のないように保育士資格を手に入れましょう！
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