お泊り保育には「テーマ」を決める場合があります。絵本や身近な題材、子どもの間ではやっているものなど、選び方は園によってさまざま。導入にも工夫が必要です。このコラムでは保育士さん向けに、お泊り保育のテーマの選び方やその導入のポイントを解説していきます。指導案などを作成するときも参考にしてみてくださいね。
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■目次
お泊り保育のテーマ決める?決めない?
お泊り保育にはテーマを決める場合もあれば、あえてテーマを決めない場合もあります。ここでは、テーマ設定する場合、しない場合についてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
テーマを決める場合
テーマを決める場合の特徴は、子どもをテーマに沿ったさまざまな活動や体験、世界観に引き込みやすいということでしょう。テーマは絵本や遠足で行った場所、子どもに興味を持ってもらいたいもの、子どもの間で流行っているものなど、子どもの興味関心を引きやすいものをテーマに設定するのが一般的です。
例えば、絵本の場合であれば、絵本の内容に沿った世界観をお泊り保育の中に持ち込んで、「絵本のキャラクターがやっていたことをしてみよう!」とさまざまな体験やイベントを導入することで、子どもがお泊り保育という体験にワクワクしながらのぞむことができるでしょう。
導入の際は、絵本の登場人物など、テーマに沿った人物から手紙やメッセージ、おたよりが届いたという形式で導入するなど子どもをテーマに誘い込むような導入をするのが一般的なようです。
テーマの世界観に入り込みながらも、お泊り保育中のさまざまな活動、体験を通して楽しく活動することができるでしょう。
テーマを決めない場合
テーマを決めることがある一方で、あえてお泊り保育のテーマを決めない、設定しない場合もあります。
こうした場合の特徴は「泊まる」や「体験する」ということに子どもが向き合いやすくなるということ。テーマを決めるとお泊りのファンタジーのような世界観を感じられるのに対し、テーマを決めない場合は、子どもにとってお泊り保育がより現実のものとして感じられるでしょう。
そのため、子どもの不安を少なくしてより楽しめるような導入やねらいとその達成のための計画は慎重に設定する必要があります。
現実の一つのチャレンジとして子どもがお泊り保育に向き合うような体験になるでしょう。
お泊り保育のテーマ選びのポイント
ここからは、テーマを決める場合について具体的に考えていきましょう。まずは、お泊り保育にふさわしいテーマのポイントを紹介していきます。
子どもがワクワク、楽しくなるようなテーマ
まず大切なのは子どもがワクワクしたり、楽しくなるようなテーマであるということでしょう。年長さんとはいえど、保護者と離れてのお泊りはやはり不安なもの。その不安を吹き飛ばしてしまうような楽しさがあると、不安がっていた子も夢中になって楽しむことができるかもしれませんね。
子どもが世界観に入る込めるようなテーマ
子どもが入り込みやすいような世界観のテーマであるとよいでしょう。「まるで物語の世界に入っているようだ」と子どもはワクワク、ドキドキしながらお泊り保育を楽しんでくれるかもしれません。子どもが自分の発想力や想像力を活かして楽しめるように、新しい発見や体験ができるような環境作りも重要でしょう。
お泊り保育でのさまざまな体験を包括するテーマ
そして、お泊り保育中のさまざまな体験を包括したテーマであることも重要です。お泊り保育を通して子どもに学んでほしい、体験してほしいさまざまなねらいがあります。こうしたねらいがうまくお泊り保育中の活動で達成できるようなテーマ設定をしましょう。
絵本であれば、さまざまな体験を通して主人公が体験する楽しさやドキドキ、ワクワクといったプラスの感情はもちろん、寂しさや不安になってしまう子どもの気持ちにも触れているようなものであるといいかもしれませんね。
お泊り保育でテーマに選ぶ絵本のジャンル
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お泊り保育のテーマには絵本を採用する場合も多いでしょう。ここでは、お泊り保育のテーマに設定しやすい絵本のジャンルを紹介します。
ファンタジーもの
自分たちとは違う世界であるファンタジーの世界観をお泊り保育のテーマに設定する場合があります。世界観を活かしやすく、お泊り保育の導入もスムーズに進むでしょう。
冒険もの
絵本のキャラクターたちが主に子ども目線でさまざまな冒険をする冒険ものの絵本もお泊り保育のテーマに選ばれます。キャラクターたちの活躍を追体験するような形で、子どもたちにさまざまな体験への興味を持ってもらえるでしょう。
おつかいやお泊りもの
子どもたちが共感しやすい、自分に置き換えて考えやすいのがおつかいやお泊りをテーマにした絵本です。おつかいやお泊りに挑戦していく気持ちは楽しみがある一方、不安になる気持ちもあります。こうした絵本は子どもの気持ちにも焦点が当たることも多いため、子どもが自分に置き換えてお泊り保育について考える機会を作ることができるでしょう。
子どもに人気の絵本
子どもに人気のシリーズや昔から読まれている定番の絵本をテーマにするのも一つの手段です。こうした絵本は子どもが親しみやすく、スムーズに導入につなげることができるでしょう。
お泊り保育のテーマに合わせた導入方法
ではこうしたテーマはどのような方法で子どもたちに導入すればよいのでしょうか。子どものお泊り保育への意識を高めるための具体的な導入方法を紹介していきます。
絵本の読み聞かせを通して導入する
テーマとなる絵本、またはテーマに関連する絵本の読み聞かせで導入をしてみてはいかがでしょうか。絵本を通して子どもがイメージしやすくなったあとに、「そういえば今度のお泊り保育があるよね」などと、現実のお泊り保育と関連付けて、お泊り保育の話題をスムーズに導入するとよいかもしれません。
キャラクターからのお手紙を通して準備を段階的に進める
絵本の主人公、テーマに関連するキャラクターから子どもへの手紙やメッセージという形で子どもたちにお泊り保育の導入をするのも一般的な手法のようです。
キャラクターからのメッセージとそれに対する子どもからの応答という形で、必要な準備やお泊り保育へのワクワクを高めることができるでしょう。こうしたやりとりで、お泊り保育のテーマの中に子どもが入りやすくなりますね。
お泊り保育中のイベントとつなげる
テーマの世界観とお泊り保育中のイベントをつなげると、よりお泊り会が楽しみになるかもしれません。。宝探しなどがわかりやすい例です。テーマの絵本のキャラクターが「お宝を園舎の中に隠したぞ」というような手紙で導入すれば、物語の世界が子どもたちにとっては現実になり、より当日への期待感が膨らみますね。
お泊り保育を盛り上げるテーマ設定を
お泊り保育のテーマは子どもをワクワクさせたり、お泊り保育に対するイメージを持たせたりとその内容によってお泊り保育を盛り上げることができます。
絵本や、遠足で行った場所、子どもの興味のある対象など、さまざまなものがテーマになりますが、その選ぶポイントやテーマに設定しやすい絵本などの傾向があります。達成したいねらいを考えたうえで、適切なテーマ選びをしましょう。
大切なのは「どうしたらお泊り保育が子どもにとってよい思い出になるかどうか」ということ。園の方針や、同僚ともよく相談したうえでテーマ設定をしてみてくださいね。