羽根つきはお正月遊びの定番ですよね。1人で遊ぶ方法やペアでの遊び方などがあり、保育にも取り入れやすいかもしれません。しかし、どうしてお正月に羽根つきをするのか知らない先生も多いのではないでしょうか。今回は、お正月に羽根つきを行う意味や由来と、子どもたちが簡単に作れる製作のアイデアを紹介します。
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お正月に行う羽根つきについて知ろう
お正月に向けて、子どもたちが昔ながらの伝承遊びに親しむ機会を作りたいと考える先生も多いでしょう。
お手玉や福笑い、凧あげなどさまざまなものがありますが、羽根つきも代表的なお正月遊びの一つです。
羽根つきには、1人で遊ぶ「突き羽根(揚げ羽根)」と、2人で遊ぶ「追い羽根」という2つの遊び方があります。
突き羽根は1人で羽根をつけた回数を競うもので、追い羽根は2人で交互に羽根を打ち合って、落とさないように勝負するというものです。
また、羽根つきの名物として、羽根を落とした相手の顔に墨を塗るというルールもあります。保育園でも、遊び方を知って取り入れてみるとよいですね。
まずは、お正月の風物詩として親しまれている羽根つきの由来について紹介します。
お正月の羽根つきの由来
羽根つきの由来は14世紀頃の中国にあると言われています。
当時の中国で行われていた羽根に硬貨をつけたものを蹴る遊びが、室町時代に日本に伝わったとされています。
日本で羽根つき遊びが盛んに行われるようになったのは江戸時代頃と言われ、明治期には人気の役者をモチーフにした押絵羽子板も流行したようです。
また一説によると、羽根つきは7世紀頃から宮中で行われていた「毬杖(ぎっちょう)遊び」が由来であるとも伝えられています。
毬杖遊びは、先端がヘラのような形をした杖で毬を打ち合って遊ぶもので、この遊びが変化して羽根つきになったとも言われています。
お正月に羽根つきをする意味とは?
お正月に羽根つきをする意味と、子ども向けに説明する方法を紹介します。
厄払い・無病息災
羽根つきは、もともと「邪気をはねよける」という意味で年のはじめに宮中で行われていたものです。
そのため、羽根をつくことで邪気払いをしたり、その1年の無病息災を願ったりする意味があるようです。
また、羽根つきに使う羽根にはムクロジという植物の実が使われており、漢字で「無患子」と表記します。
この漢字は「子どもが患わない」という意味になるため、羽根つきは縁起がよいものと考えられていたようです。
このことから、羽根つきは子どもの健やかな成長を願い、邪気や厄を払うものとして親しまれてきたのですね。
ちなみに、羽根つきで羽根を落とすと顔に墨を塗るというルールも、魔除けのおまじないのようです。
羽根つきの意味を子どもに説明するには?
子どもたちに羽根つきをする意味を聞かれたときには、「羽根つきをすると悪いものを追い払うことができるんだって。だからお正月に羽根つきをして、1年間無事に過ごせますようにお願いするんだよ。」と説明してみましょう。
厄や邪気という言葉は「悪いもの」と簡単に言い換えて、お正月に行う羽根つきには、「元気に過ごすため」という大切な意味があることを子どもたちに伝えられるとよいですね。
保育園で作れる羽子板の製作
ここでは、保育園で子どもたちと楽しめる羽子板の製作アイデアを紹介します。
牛乳パック羽子板
用意するもの
【羽子板】
- 牛乳パック 1個
- 割りばし 2膳
- はさみ
- セロハンテープ
【羽根】
- 短く切ったPEテープ 数枚
- ビニールテープ(黒)
ポイント
先生が切り開いた牛乳パックを準備しておけば、3歳児くらいから楽しめるアイデアかもしれません。
動画では、羽子板を作ってから表面をデコレーションしていますが、組み立てる前に絵をかいたり装飾したりするほうが作りやすいでしょう。
羽根は少し重さがあると打ちやすくなるので、ビニールテープを巻くところにおはじきなどの重りを入れておくとよさそうです。
羽根が小さくて打ちにくいという場合には、風船などを使って遊び方をアレンジしても楽しめそうですね。(牛乳パックの羽子板の詳しい説明はこちら)
折り紙羽子板(0:40~2:46)
用意するもの
【羽子板の折り紙】
- 折り紙 1枚
- 折り紙 1/4サイズ 1枚
【羽根の折り紙】
- 折り紙 1/8サイズ 4枚
- のりまたはテープ
ポイント
羽子板の部分の作り方は比較的シンプルなため、先生が作り方を教えれば2歳児後半から3歳児くらいからチャレンジできそうです。
羽根の部分は小さな折り紙を使うため、細かい作業になります。
そのため、年長クラスなど折り紙製作に慣れている子どもに取り入れるとスムーズかもしれません。
一方で、大きめの折り紙を使えば、年齢の低い子どもでもチャレンジできるでしょう。
お正月をモチーフにした壁画製作などに活用してみてださいね。(折り紙の羽子板の詳しい説明はこちら)
子どもたちと羽根つきをして、お正月遊びを楽しもう
今回は、羽根つきの由来やお正月に行う意味などについて紹介しました。
羽根つきは、かつて中国で行われていた羽根を蹴り上げる遊びが日本に伝わり、徐々に人々に広まっていったと考えられています。
また、宮中で行われていた毬杖遊びが由来であるとも言われています。
お正月に羽根つきを行うのには、邪気をはねよけて1年の無病息災を願うという意味があり、子どもが健やかに成長しますように、という願いを込めて人々に親しまれてきたようです。
子どもたちに羽根つきについて説明したり羽子板の製作をしたりして、保育園のお正月を楽しく過ごせるとよいですね。