梅雨の時期になると、雨を利用して泥遊びを楽しむ保育園もあるかもしれません。遊び方や注意点を把握しておけば、スムーズに取り入れられそうですね。今回は、泥遊びの効果やねらい、保育園で行う場合の環境構成、遊び方のアイデアを紹介します。また、事前におたよりで保護者に知らせるといった注意点もまとめました。
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子どもにとって泥遊びはどんな効果がある?
雨が多くなる梅雨の時期。保育園によっては、ぬかるんだ砂場を利用して泥遊びを取り入れるところもあるのではないでしょうか。
保育士さんのなかには「汚れそうだし、嫌だな」「準備が大変そうだな」と感じる方もいるかもしれませんが、泥遊びには子どもたちにとってよい効果があると言われています。
まずは泥遊びで期待できる効果から確認してみましょう。
五感を刺激する
泥遊びは、子どもの五感を刺激する効果があると言われています。
水を混ぜれば柔らかくなり、乾けば固くなるといった特性や感触を、泥遊びを通して自然と学ぶことができるかもしれません。また、涼しい日は泥が冷たく感じ、暑い日は温かいといった温度感も全身で感じることができるでしょう。
そのため保育園での泥遊びは「感覚遊び」のカテゴリーにあり、豊かな心身の発達を促すための遊びとして取り入れられているようです。
創造力や集中力を伸ばす
泥遊びには、子どもの創造力や集中力を伸ばす効果もあるようです。
泥は、加える水の量によって性質が変わる特徴を持っています。そのため、固めたり、溶かしたりとさまざまな形に変えられます。
子どもたちは崩したり、作ったりを繰り返すなかで「次はどんな形にしよう」「どれくらい水を加えたら壊れるんだろう」と、創造力を働かせながら遊べるでしょう。
また、夢中になって遊ぶことで集中力も育まれると言われています。
保育士さんはできるだけ長い時間を確保し、じっくりと泥の変化を観察したり、何かを作ったりする子どもたちを見守るとよいですね。
社会性が身につく
泥遊びを通して、社会性が身につくという効果もあるようです。
遊びのなかでスコップやバケツの取り合いをしてケンカをしたり、友だちと協力して大きな山や川を作ったりと、さまざまなトラブルやコミュニケーションを経験することでしょう。
そういったやりとりのなかから、自然と集団生活のなかでも必要とされるコミュニケーション能力やほかの子どもを思いやる心などが培われていくかもしれませんね。
このように、泥遊びには子どもにとってさまざまな効果があるようです。
梅雨の時期は室内にこもりがちでストレスが溜まることもあるかもしれませんが、晴れ間には泥遊びをして開放的に遊べるとよいですね。
ここからは、保育園で泥遊びをするときの環境構成や遊び方のアイデアなどを紹介します。
保育園で泥遊びをするときの環境構成
保育園で泥遊びをするとき、保育士さんはどのような環境構成をすればよいのでしょうか。
安全チェックをしてから遊び場を作る
泥遊びをする際は、安全チェックをしてから遊び場を作ることが大切です。
泥遊びは裸足になって行うことが多いため、尖ったものなどを踏むと思わぬケガをすることも考えられます。保育士さんは事前に危険なゴミなどが落ちていないかチェックし、安全を確かめたうえで遊び場を作りましょう。
さまざまな道具を揃える
泥遊びをする際は、遊びに活用できるさまざまな道具を揃えておきましょう。
バケツやシャベル、じょうろ、ペットボトル、空き容器、皿など、できるだけ多くの種類と数を用意するとよいかもしれません。
それにより、子どもたちが自分で道具を選んだり試したりして、遊びを発展させやすくなるでしょう。
泥エリアと遊びエリアを分ける
泥遊びをするときは、泥エリアと遊びエリアを分けることも環境構成のポイントになります。
泥エリアでそのまま遊ぶと、全員が泥に触れ合うことができずトラブルになったり、遊びの幅が広がりにくくなったりすることも考えられます。
しかし、泥エリアと乾いた砂エリア、遊びエリアなど区分けをすることで、子どもたちが自由に素材を持ち運んで遊べるでしょう。
泥遊びの環境構成のポイントを押さえたところで、次に保育園での泥遊びのアイデアを紹介します。
保育園での泥遊びアイデア
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保育園の子どもたちといっしょに楽しめる、泥遊びのアイデアをまとめました。
ピカピカの泥団子作り
磨けば磨くほどピカピカになる、泥団子の作り方です。
用意するもの
- 泥
- サラサラの砂
- 水
- ビニール袋
- タオル
- 目の細かい布
遊び方
1.できるだけ小石やダマなどのない泥を、丸く固めてこぶしより少し小さいくらいの団子状にします。
2.表面にふるいなどを通したサラサラの砂をかけ、親指で擦るようにしながら形を整えます。
3.再度表面にサラサラの砂をかけ、形を整えます。この工程を30分ほどくり返していきます。
4.団子をビニール袋に入れて封をし、割れないようタオルで包んでから日陰で1時間以上寝かせます。
5.団子を袋から取り出し、手のひらにサラサラの砂を擦りつけてから団子を磨きます。
6.目の細かい布で磨き、表面がピカピカと輝いてきたらできあがりです。
ポイント
目の細かい布として、繊維の細かい雑巾やいらなくなった子どもの肌着、ストッキングなどが利用できそうです。
途中で割れてしまったり、思ったように光らなかったりと、失敗を繰り返すことでコツをつかめるかもしれません。何度も挑戦して、子どもが自分なりの上手なやり方を見つけられるとよいですね。
泥んこケーキ作り
泥を利用して、オリジナルのケーキを作ってみましょう。
用意するもの
- 泥
- 鍋などの丸い容器
- デコレーション用の木の実や小枝、花びらなど
- シャベル
遊び方
1.ケーキのデコレーション用の木の実や花びらなどを集めます。
2.容器にシャベルで泥を入れ、表面を平らに整えます。
3.表面に好きなデコレーションをしたらできあがりです。
ポイント
泥遊びの前に、園庭の散策や散歩を通してケーキのデコレーションに使えそうな素材を集めておくのもよいかもしれません。プリンなどの空き容器を活用して、小さなカップケーキをたくさん作るのもおもしろそうです。
川作り
友だちと協力しながら、川を作るアイデアです。
用意するもの
- 泥
- 水
- バケツ
- スコップ
- シャベル
- 熊手
遊び方
1.川を作るエリアを決めます。
2.スコップやシャベル、熊手などを利用して川を掘っていきます。
3.バケツに水を汲んできて、川に流してみます。
4.どのように水が流れるか観察しながらさらに掘り進め、ゴールとなる地点を作ってできあがりです。
ポイント
どれくらいの傾斜を作れば水が流れやすくなるかや、カーブでどのように水の流れが変わるかなどを観察しながら川を作れるとよいですね。
保育士さんは基本的に子どもたちが主体となって遊ぶよう援助しましょう。ただし、川の作り方について友だち同士で揉めたり、道具の取り合いをしたりとトラブルが起きた場合は、必要に応じて仲裁するとよいかもしれません。
保育園で泥遊びをするときの注意点
最後に、保育園で泥遊びをするときの注意点を紹介します。
おたよりなどで保護者に呼びかけておく
泥遊びを取り入れる際は、前月のおたよりなどで保護者に呼びかけておきましょう。
保護者の方には、泥遊び用の汚れてもいい服を用意してもらう必要があります。また、梅雨の晴れ間などのタイミングでいつでも泥遊びができるよう、持ち帰った場合は洗濯して翌日子どもに持たせてもらうことをお願いするケースもあるようです。
そういったお知らせやお願いを事前におたよりでしておけば、保護者の方も余裕をもって用意できるかもしれません。
あわせて、泥遊びに向いている服の素材や、汚れた服の洗濯の仕方なども書いておくと保護者の方が参考にしやすそうですね。
子どもが泥を口に入れないようにする
泥遊びをするときは、子どもが泥を口に含んだり、汚れた手を洗わずに食事したりすることのないよう注意しましょう。
泥のなかには、小さなゴミや目に見えない細菌が混じっていることも考えられます。泥を口に入れないことを先に約束事として伝えたり、遊びの最中も保育士さんが注意深く観察したりすることが大切です。
もしも子どもが口に含んだ場合は、すぐに口から吐き出すように指示し、すみやかにうがいを促しましょう。
目安として、何でも舐めなくなった1歳半以上のクラスで行うなど、できるだけ安全に遊べる年齢になってから取り入れるとよさそうです。
十分な準備をして、保育園で泥遊びを楽しもう
今回は、泥遊びの効果や保育園での遊び方のアイデアなどを紹介しました。
泥遊びには、子どもの創造力や社会性を伸ばすといった効果があると言われています。
梅雨の時期だからこそ、自然と泥が作られたり、開放的になって遊べたりするかもしれません。泥を活用して友だちとケーキや川を作るなど、さまざまなアレンジができそうです。
事前におたよりで知らせて汚れてもいい服を用意してもらうなど十分な準備をして、子どもたちといっしょに思いきり泥遊びを楽しめるとよいですね。