保育士さんが受けられる「家賃補助制度」。利用している保育士さんも多いですが、この制度、補助の種類を自分で選べたり、自治体や園などによって受けられる制度にも大きな違いがあったりするということを知っていますか?知ればもっとお得に利用できるかもしれない、家賃補助制度のあんなことやこんなこと、わかりやすく説明します!
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■目次
パターンいろいろ!保育士が受けられる家賃補助の種類
保育士さんに向けた家賃補助制度は、大きく分けて3種類あります。以下で紹介します。
- 住宅手当
- 寮・社宅制度
- 借り上げ社宅制度
誰が補助してくれるのかという点や補助される額などが変わってくる ので、それぞれの特徴を理解し、よく検討して自分にあった補助を選ぶのがよいでしょう。
住宅手当の支給
住宅手当は、勤務する園が福利厚生として設定している家賃補助の制度です。
補助金額は園によって違いますが、だいたい月に1~3万円前後が相場です。園から毎月の給与とあわせて支払われることが多いようです。
園によって明細の項目は「家賃手当」「住居手当」などさまざまですが、同じものと考えてよいでしょう。
メリット
- 住居を自分で自由に選ぶことができる
- 退職しても家を退去する必要がない
- 家賃額にかかわらず一律支給される場合がある
デメリット
- 園によって制度を導入していない場合がある
- 課税の対象となる
- 家賃補助の中では金額が低め
寮・社宅制度
寮・社宅制度も、勤務する園が独自に設定している福利厚生の制度です。
こちらも園によってあるところとないところがあります。補助金額は家賃の20~50%と言われており、かなりお得といえます。
園がそれぞれ独自に運営する制度ですので、家具付きのマンションの場合もあれば、お風呂やトイレが共同の下宿タイプもあるなどさまざまですが、待遇のよい園であればかなりの節約 になるでしょう。
メリット
- 家賃が格安になる・生活費の節約になる
- 職場近くの場合が多いため通勤が楽になる
- 課税対象にならない
- 同じ住居内に同僚がいるのでさみしくない
デメリット
- 退職にともない退去する必要がある
- 園によって住居のレベルに差がある
- 自分の好きなエリアや住居を選べない
- 仕事とプライベートのメリハリがつけづらい場合もある
借り上げ社宅制度
前項目の「寮・社宅制度」と似ていますが、あちらが園から支給される補助なのに対して、こちらは国による補助という違いがあります。制度としては「保育士宿舎借り上げ支援事業」と呼ばれます。
国・自治体・園が家賃にあたる金額を折半しているため、補助金額も3つの中でもっとも高く、月の上限が82,000円に設定されています。家賃の金額によっては、自己負担額0円で住むことも可能です。
利用したい保育士さんは、転職時の条件に「借り上げ社宅あり」と書かれているかチェックしてください。
メリット
- 補助額が大きく家賃がかなり節約になる
- 導入している園や自治体は保育士の環境整備に力を入れている可能性が高い
- 同じ住居内に同僚がいるのでさみしくない
デメリット
- 課税対象になる
- 退職にともない退去する必要がある
- 今後、制度自体がなくなる可能性がある
- 仕事とプライベートのメリハリがつけづらい場合もある
要注意!家賃補助を受けられないケースや期限を確認
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家賃補助制度を利用するにあたっての難しいところは、基本的に、園や自治体・園ごとに制度が限定されたり、補助金額がさまざまだったりする部分です。入職の際に確認しておきましょう。
自治体や園ごとにそれぞれ条件がある
住居に対しての補助という特性上、自治体や園によっては単身者のみという条件がつく場合があります。また、同居家族、配偶者など同居人がいる場合は対象外、ただし同居人が子どもの場合は可、など細かく規定されることもあるので確認が必要です。
また、同居は可だが自分が世帯主でない場合、育休や産休・休職中、所属地域に居住しない場合、同自治体内での転職なども対象外になる場合があります。
勤めはじめた頃は補助が出ていた保育士さんも、ライフスタイルの変化によって補助の対象外となる可能性があります ので、注意してください。
補助を受けられる期間がある
家賃補助制度は、原則として採用日から9年間の期限があるとされていますが、これも自治体によってさらに短い例があります。
「保育士宿舎借り上げ支援事業」に関しては、制度が始まった当初は10年間の予定でしたが、段階的な見直しが行われる中で、令和5年度からは7年に短縮されました。
なお、保育士有効求人倍率が高い自治体に関しては、5年以内となる可能性もあります。
制度自体が打ち切られる可能性も
場合によっては、当初は9年間補助を受けられる予定だったのに、途中で急に制度自体が打ち切られた、という可能性もあるためこればかりは難しいところです。
自治体や園によっては、急に打ち切ることはないとしても、少しずつ補助金額を削っているところもあるようです。財源の面や、少子化による保育士不足解消などの要因で、制度自体を打ち切る可能性はないとはいえません。
家賃補助制度、結局どう選ぶのが正解?
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今ある補助制度については、できるだけ自分の生活スタイルにあった補助を選ぶとよいでしょう。
転職を考えている保育士さん・転職活動中の保育士さんは、就職先を探すにあたって家賃補助制度をどのように導入しているのかを改めて確認してみるのもひとつの判断基準になるかもしれません。
園単位では、募集要項の「福利厚生」の欄を見てみましょう。
園だけではなく、自治体によって補助額や制度も大きく変わるので、今いるところだけではなく、近隣の地域や自治体も事前リサーチしてみるなど、制度を最大限活用する転職スタイルも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
ほかにもある保育士さん向け補助制度
上記の他、各自治体が導入している以下のような補助制度もあります。
自分の働いている自治体や園が住宅補助の対象外だった、という保育士さんはぜひ参考にしてください。
- 処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ
- 保育士等キャリアアップ補助金
- 未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付
- 転居支援
- 奨学金返済支援
- 就職準備のための低利息貸付
- 勤続年数による報奨金
これらは、都道府県や自治体単位で導入しているものがほとんどですが、ほかにも保育士を目指す方への学費補助や、潜在保育士に対する支援制度などもあります。
保育士さんならではのお得に利用できる制度は、あるうちに最大限活用しましょう!
保育士向け独自の家賃補助制度、調べてお得に活用しよう!
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家賃補助制度を積極的に導入している園や自治体は、保育士さんの待遇改善へ力を入れている可能性が高い 傾向にあるようです。
「お得だから」というだけでなく、保育士さんの生活やワークライフバランスを考慮してくれる補助制度を備えた環境であれば、安心して働けますよね。
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