慢性的な保育士不足が叫ばれる中、保育士さんの人数とその推移を知ることで、保育施設における配置基準の課題や問題点、さらに保育士さんにとって働きやすい環境をととのえるためのヒントが見えてくるかもしれません。ここでは、保育士さん自身が知っておきたい、保育士人数にまつわるさまざまな課題をまとめました。
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目次
全国の保育士の人数とその推移
厚生労働省の資料によると、2023年1月時点で、東京都における保育士の有効求人倍率は3.8倍を超えた ことが発表されています。
全国でみても3.12倍という数字が出ており、全国的にも保育士不足は深刻な問題になっているといえるでしょう。
働いている保育士の人数
厚生労働省が公表している資料「保育士の登録者数と従事者数の推移」によれば、2020年の時点で、全国で保育士として働いている人の人数は約64万5千人となっています。
これに対して、保育士登録者数は約167万3千人です。これは、実際の保育従事者が登録者数の半数を大きく割り込んでいるということになります。
潜在保育士の人数と対策
厚生労働省のデータによれば、潜在保育士の割合は保育士登録数のおよそ60%。しかも、2007年から2020年まで、その割合はほぼ変化していないことがわかります。
2020年に厚生労働省が実施した「第5回保育の現場・職業の魅力向上検討会」による資料「保育士の現状と主な取組」で言及されている「保育人材の確保に向けた総合的な対策」では、潜在保育士の掘り起こしについて以下のように対策を発表しています。
「子育て安心プラン」に基づく約32万人分の保育の受け皿整備に伴い、保育の担い手となる保育人材(新たに約7.7万人)を確保するため、処遇改善のほか、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組む。
○保育士・保育所支援センターの拡充
(潜在保育士の掘り起こしを行い、保育事業者とのマッチング支援(職業紹介)を実施)
・保育士・保育所支援センターにマッチングシステムを導入する費用を支援し、業務の効率化を図るとともに、潜在保育士等保育人材のニーズに合わせたよりきめ細かなマッチングを実施。(補助額700万円)【R1予算~】
○潜在保育士再就職支援事業
・長いブランクによる潜在保育士の職場復帰への不安を軽減するため、保育所等が潜在保育士を非常勤として試行的に雇用する際に行う研修等に要する費用を補助(補助額10万円)【R1予算~】
○就職準備金貸付事業
(再就職する際等に必要となる費用を貸し付け、2年間勤務した場合、返還を免除)
・貸付額の上限を引き上げ(20万円→40万円)【28補正~:R2予算で貸付原資等を確保】
これらの対策が、潜在保育士による保育現場への就業・復職の呼び水になることが期待されています。
また、無資格でも保育施設で働くことができる「子育て支援員」や「保育サポーター」などの保育補助スタッフの導入も進められています。
男性保育士の割合
2020年に厚生労働省が行った調査では、保育士の登録者数の男女比率は、女性保育士の約158万3千人に対して、男性保育士は約8万2千人と発表されています。
割合としては女性保育士95%・男性保育士5%になりますが、2000年の調査では1%代だったことから考えると、男性保育士の数は増加傾向にあることがわかります。
今後、男性保育士のキャリア形成や給与、働きやすさなどさまざまな面での環境整備がなされることで、男性保育士の活躍の場がますます広がることも期待されています。
保育士の配置基準はどう影響している?
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保育園における「保育士配置基準」は、厚生労働省によって制定されている、保育施設で子どもの人数に対して設定される保育士の人数です。これは子どもの年齢によって細かく定められています。
| 保育士1人が保育できる園児の数 | |
| 乳児(0歳児) | 3人 |
| 1,2歳児 | 6人 |
| 3歳児 | 20人 |
| 4,5歳児 | 30人 |
2023年3月に政府が発表した「異次元の少子化対策」の要項に、保育士の「75年ぶりの配置基準改善」が明記されたことが話題になりました。
しかしその翌月に、こども政策担当相による記者会見で、配置基準の改定が否定され、全国の保育現場からは落胆の声があがりました。
保育士の配置基準の見直しは現場からは急務とされている問題です。
とくに、4・5歳児は1948年の基準制定から75年間変わっていないことも問題視され、時代の変化とともに保育士の負担も増えてきていることから、見直しを望む声も高まっています。
保育士の離職原因の中には「保育士の負担が大きい」「仕事量が多い」という声も多く聞かれます。
潜在保育士の掘り起こしと併せて考えても、この配置基準の見直しや大胆な改定が行われれば、保育士の負担軽減につながり、ひいては人手不足解消の一手となるのではないでしょうか。
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保育士の処遇改善にはどんな対策がとられている?
保育士不足の解決に向けて、保育士の処遇改善が対策されています。
保育士への補助として立ち上がった「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」では、具体的に以下のような対策がすでに進められています。
- 2023年4月から一人あたり月額9,000円の給与引き上げ
- キャリアアップ研修実施による仕組みづくりと実施施設への費用補助
- 保育施設から保育士の離職を防ぐための研修の実施
- 保育施設の業務管理体制整備
- IT技術導入推進による業務負担の軽減
これらの事業が継続されていくことで保育士さんの処遇改善が成功し、潜在保育士や新規の保育士さんが増えていくことが期待されています。
また、それによって、保育の質と保育環境、保育士さんの労働環境が改善されることも、目指す大きなゴールとなっています。
子育て支援員・保育サポーターなどの活用
2015年から「子ども・子育て支援新制度」が新たに打ち出した保育士不足対策として「子育て支援員」の導入がはじまりました。
これは、自治体ごとの研修を受けることで「子育て支援員研修修了証明書」が交付され、保育施設などで保育補助として働くことができる制度です。保育士配置基準にも認められています。
保育補助の業務内容としては、主に以下のようなものがあります。
- 乳幼児の保育サポート、見守りなど
- 園舎内の清掃、美化業務
- 保育における準備等
- 配膳・下膳などの補助業務
- 子どもの生活介助(おむつ・トイレ・着替えなど)
- 散歩の引率・外遊びの見守り
この子育て支援員は、地域によっては「保育サポーター」とも呼ばれており、有資格の保育士さんにとっては業務量や負担の軽減となる心強い制度でもあります。
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