近年、一般企業へ転職する保育士さんが増えているようです。先輩や同僚、保育学校の同級生の転職先が保育施設以外の企業というのを見聞きした保育士さんもいるのではないでしょうか。保育士さんが転職を考える際の選択肢のひとつとして、一般企業も視野に入れてみると世界が広がるかもしれません。
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■目次
保育士さんが一般企業に転職したい理由
厚生労働省が調査した統計では、保育士さんの退職理由と、保育士資格を有しながら保育士としての就業を希望しない場合の理由が発表されています。
それらによると、どちらの場合も「給与面」が大きな理由になっていることがわかります。
以下のランキングを見てみましょう。
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保育士さんの退職理由・ベスト3
①職場の人間関係
②給料が安い
③仕事量が多い
保育士として就業を希望しない理由・ベスト3
①賃金が希望とあわない
②他業種への興味
③責任の重さ・事故への不安
※いずれも複数回答
人間関係や他業種への興味が上位にくるのは、どの職種でも転職理由としてあげられがちですが、給与面や仕事内容についての不満や不安の声が大きいことが、保育士さんの転職理由の特徴といえます。
出典:図表1-2-65 保育士として就業を希望しない理由(複数回答)/厚生労働省
出典:図表1-2-62 保育士として就業した者が退職した理由(複数回答)/厚生労働省
一般企業への転職、どんな職種が向いている?
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保育士さんが一般企業に転職を考えるとき、具体的に就きたい職種・業種が明確でない場合は、誰でも「自分に向いている仕事はなに?」と考えるのではないでしょうか。
向き不向きはやってみないと分からない部分も多々ありますが、こんな仕事なら頑張れそう!と前向きになるためにも、自分のやりたいこと・希望の働き方を見直してみましょう。
保育士さんの経験や適性を活かせる場所も、意外なところにあるかもしれません。
人の役に立ちたい・人とかかわる仕事がしたい
- 福祉、介護職
- 販売・受付など接客業
- ホテルやレジャー施設の現場スタッフ
保育士の資格や経験を活かすなら・・・子ども服やベビーグッズの販売・バイヤー
保育士資格を取得して、保育の仕事をしていたのなら「人とかかわる仕事がしたい」という気持ちがまったくない人は少ないのではないでしょうか。
保育現場の仕事は、子どもだけではなく保護者や地域の人々とも密接にかかわる機会も多いため、仕事の中で対人スキルが身についている保育士さんも多いようです。
その対人スキルを活かせれば、他の職種でも強みになるかもしれません。
また、子どもの成長・発達や育児の知識を最大限活かすなら、子ども服やベビー・育児グッズの販売なども転職先として選択肢に入れてみるのもよいでしょう。
デスクワーク中心の仕事がしたい
- 一般事務
- 内勤営業
- データ入力オペレーター
- テレフォンアポインター
- WEBデザイナー・ライター・プログラマー
- CADオペレーター
保育士の資格や経験を活かすなら・・・教育関係の企業での事務や企画職
とにかくデスクワーク!という保育士さんなら、事務職など内勤でできる仕事を探しましょう。
教育・保育関係の企業の企画職や内勤業務であれば、就職時にも保育士経験が売りにできます。
基本的には、デスクワークにはパソコンスキルが必須になることがほとんどですが、園での業務で会計ソフトや表計算ソフト、文書作成ソフトを使う機会があったならば、転職時にアピールできます。
また、一般事務は、オフィス内の備品管理や来客対応など、庶務的な役割を求められることも多いため、保育士さんのマルチタスク能力を活かすこともできるでしょう。
パソコン作業が苦手な保育士さんは、テレフォンアポインターやデータ入力オペレーターなど、マニュアルに沿って専用フォームに入力するような業務からはじめてみるのもいいかもしれません。
なお、WEBデザイナーやライター、プログラマーといったWEB関係、設計に携わるCADオペレーターなどは、経験やスキルが必要な分野です。
いきなり高収入は難しいかもしれませんが、アルバイトから始めて経験とスキルを積み上げていけば、ゆくゆくはフリーランスや在宅勤務などの道も開ける可能性が高い職種です。
身体を動かしながら稼ぎたい!
- 営業職
- ドライバー
- スポーツクラブ・ジムのインストラクター
保育士の資格や経験を活かすなら・・・子どもや親子ターゲットの商品・サービス営業
自分の働いた分、売り上げた分のインセンティブが入る職種といえば、やはり営業やセールスが定番人気です。
幼児教育の教材や習いごと、ベビーシッター派遣など、ユーザーが保育士の仕事で関わる人と近い商品やサービスの営業であれば、保育士さんの経験が重宝される場面が多いでしょう。
また、ドライバーやインストラクターなど体力を活かしてしっかり働く女性も増えているようです。デスクに座っているのが苦手な保育士さんには向いているかもしれません。
保育士経験しかないけど、一般企業にどうアピールする?
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他業種に転職したいけど、保育士の経験しかないのがネック…そう考えてしまって一歩を踏み出せない保育士さんのために、保育士経験をどのように応用できるかを考えていきましょう。
保育士さんなら当たり前のことでも、一般企業への転職の際には武器になるかもしれません。
コミュニケーション能力
保育士さんは、0歳児から、働く保護者、地域の高齢者の方々までさまざまな属性の方々と綿密なやりとりを行なう必要がある仕事です。
どんな業種や職種でも、幅広い層からの信頼関係を築きあげたコミュニケーションのノウハウは、採用担当者の高い評価を得られるのではないでしょうか。
マルチタスク能力
月齢によって対応が変わる乳幼児のお世話から、幼児の発達にあわせた教育、保護者対応、季節のイベントの準備、事務作業におたよりの作成、園内の環境整備などなど、とにかく量の多さと多様さでは他に類を見ない業務がある保育の仕事。
保育士さんは当然のようにこなしていますが、その能力は世間一般では「マルチタスク」と呼ばれ、一般企業でも非常に強みになると考える採用担当も多いようです。
企画力・実行力
保育園では、入園式や卒園式といった式典から、運動会・遠足・夏祭りといった季節のもの、毎月のお誕生日会やお楽しみ会、保護者会などのさまざまなイベントを運営しています。
イベントを企画し、実行し成功させるスキル、現場対応力などが知らず知らずのうちに磨かれているのが、保育士さんの意外な強みのひとつと言えるかもしれません。
問題解決能力(気づく力)
子どもや働く保護者を日々相手にしている保育士さんは、日常保育でのトラブル対応・問題解決の経験において、どの職種よりも豊富かもしれません。
子ども同士のトラブルや、メンタルの問題、保護者や地域からのクレーム対応など、どんなトラブルにも立ち向かい、解決に導いてきた経験は、一般企業でも役に立つ貴重な経験値としてアピールできます。
体力
とにかく笑顔と体力が資本の保育業務に対応する保育士さん。その笑顔はどんな仕事でも強い味方になってくれるでしょう。一般企業の面接でも、笑顔と体力・行動力のアピールは大切です。
保育士さんへ
どんな保育園が自分に向いているかわからない、今の保育園の仕事や人間関係に不満がある…、少しでも気になることがあれば、保育士バンク!に、あなたの思いや希望を聞かせてください。
一般企業への転職、どうやってスタートさせる?
就職情報誌やサイトなどで探すのも大事ですが、失業手当を受給しながら探すなら、まずハローワークでの転職活動は忘れてはいけません。
また、一般企業への就職活動が初めてという場合は、転職エージェントを活用してみるのもひとつの手です。業種やジャンル、年齢によってもさまざまなニーズに細分化されています。
転職エージェントによっては、キャリア診断やスキルアップセミナーなどが受けられるので、自分の希望にあった転職への道すじを見つけるために、試してみるのはいかがでしょうか。
保育士としての転職を考えているなら、保育専門の転職エージェントを活用してみてくださいね。
一般企業?保育士?自分を見つめなおして転職は慎重に!
一般企業への転職を考えている保育士さんにも、それぞれの事情や思いがあるようです。
これを機に、保育士さんの仕事について、もう一度見つめなおしてみるのもよいかもしれませんね。
思い切ってほかの保育施設や園へ転職してみたら、もっと保育士としてよい環境で働けるかも?他業種だけでなく、新しい保育園やさまざまな保育施設もあなたを待っています。
しっかり検討して、後悔のない転職活動をすすめましょう。
保育士バンク!は、保育士専門の求人サイトです。
「自分の可能性をいろんな環境で試してみたい」「保育園以外に今の経験を活かせる働き方ってある?」など、理想の転職や職種についてどんなことでもご希望をお聞かせください。
専任アドバイザーが、数多くの求人の中からあなたの希望にぴったりな転職先を紹介します。
すぐに転職を考えていなくても、今の環境に少しでもお悩みがあれば、お気軽に保育士バンク!に相談してみませんか?