指定保育士養成施設とは、保育士資格を取得するための学校です。社会人として働きながら保育士を目指す場合、夜間コースや通信制の学校など、ライフスタイルにあわせて選ぶことがポイント。今回は、指定保育士養成施設とは何か、学費や勉強期間などを紹介します。また、通ううえでのメリットやデメリットもまとめました。
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■目次
指定保育士養成施設とは?
指定保育士養成施設とは、都道府県知事によって指定された保育士を専門的に養成する学校です。
4年制大学や短期大学、専門学校の中に学部や学科単位で専門の養成コースを設置する形で運営されており、現在全国に675校あります。
授業は昼間、昼夜開講制、夜間、昼間定時制、通信制のいずれかで開かれており、卒業すれば保育士資格を取得できるのが特徴です。
出典:指定保育士養成施設一覧(令和3年4月1日時点)都道府県、指定都市、中核市別/厚生労働省
出典:指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について/厚生労働省
指定保育士養成施設の勉強期間や学費
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では、指定保育士養成施設での勉強期間や、卒業までにかかる学費の目安を見ていきましょう。
社会人から保育士を目指す方は、施設選びの参考にしてみてくださいね。
勉強期間
指定保育士養成施設の勉強期間は、厚生労働省の「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」のなかで「修業年限」として以下のように定められています。
- 昼間部、あるいは昼夜開講制:2年以上
- 夜間部、あるいは昼夜定時制、通信教育部:3年以上
しかし、実際は4年制大学であれば4年間、短期大学や専門学校であれば2~3年間など、入学する学校によって異なるでしょう。
学費
指定保育士養成施設の学費は学校によって異なります。
一般的に、私立大学の場合1年間で100万円前後かかると言われています。
つまり、2年~3年制の短期大学や専門学校に通えば200万円~300万円程度、4年制大学に通えば400万円近くかかるでしょう。
あくまでも目安であり、昼間か夜間かなど学ぶコースによって差異はあるものの、一般的な学部や学科と比較してそこまで安いとは言えないかもしれません。
また、なかには4年制大学や短期大学よりも学費が安い専門学校もありますが、学校の種類による差はほとんどないようです。
出典:指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について/厚生労働省
学校選びの参考に!指定保育士養成施設の種類
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先述したように、一般的に指定保育士養成施設として4年制大学、短期大学、専門学校が指定されています。それぞれの特徴やメリットを知って学校選びに役立てましょう。
4年制大学
指定保育士養成施設の4年制大学のなかには、文部科学省と厚生労働省の両方の指定を受けている学校が多く、幼稚園教諭一種免許状もあわせて取得できるケースがあります。
認定こども園の増加とともに、保育士資格と幼稚園教諭免許を持つ保育教諭のニーズも高まっているため、同時に両方を取得できるのはメリットと言えるかもしれません。
また、公務員試験対策の勉強を並行して進める学生が多いのも特色です。
4年制大学は在学期間が長いため、他の資格取得にチャレンジしたり、より勉強を深めやすかったりするのもうれしいポイントかもしれませんね。
短期大学
4年制大学よりも短期間、かつ学費を抑えて保育士資格取得を目指せるのがメリットです。
その一方で、短期間で資格取得に必要な科目だけでなく必修科目を履修し、実習なども行う必要があるため在学中は忙しいことが考えられます。
保育士として早く社会に出て、キャリアや実績を積みたい場合に適しているかもしれません。
専門学校
短期大学と同様に、2年~3年で保育士資格を取得できます。
名前の通り、保育士資格の取得に必要となる実践的な内容を専門的に学べるのが特徴です。
また、入学方法は一般入試の他高校からの推薦、AO入試、社会人入試などさまざまあります。
学校にもよりますが、短期大学や4年制大学に比べて学力を問われることが少なく、入学のハードルが低いのもメリットと言えるでしょう。
社会人が働きながら学べる!指定保育士養成施設の通信・夜間コース
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社会人として働きながら保育士資格の取得を目指す方もいるでしょう。
ここでは、「働きながら勉強したい」「事情があって毎日通うのは難しい」といった方に向けて、保育士養成施設の通信制・夜間コースについて紹介します。
夜間コースの特徴
働きながら保育士を目指す社会人が仕事の後や休日に勉強できるように、平日の夜・土曜日などに開講されているのが夜間コースです。
基本的に履修科目や単位数は同じで、昼間と比べて授業数は少ないものの履修内容は変わりません。そのため、密度が濃くテンポが速い授業が特徴的です。
勉強がハードになる側面もありますが、短時間で効率よく学べるというメリットもあるでしょう。
通信制コースの特徴
通信制コースは、夜間コースと同様、働きながら保育士を目指す社会人でも勉強できるよう、授業や課題の提出、それに対する添削などを通信で行うスタイルです。
通信制大学では、卒業に必要な124単位のうち30単位をスクーリング(実際大学に通って授業を受ける)で取得することが決められています。
また、通信制は学費が安いのも特徴です。
先述したように、大学や専門学校に通学する場合年間100万円程度かかりますが、通信制の学費は卒業までの期間で約100万円程度が目安となります。
学費とは別にテキスト代やスクーリング費などを別途支払う場合もありますが、通学よりも安い費用で資格取得を目指せるのはメリットと言えそうですね。
指定保育士養成施設に通うメリット・デメリット
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最後に、指定保育士養成施設に通うメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
卒業と同時に保育士資格を取得できる
一つ目のメリットは、卒業と同時に資格を取得できる点です。
必要な科目を履修し単位を取得すれば自動的に資格を取得できるので、在学期間内に確実に保育士資格を取りたい方にはぴったりでしょう。
また、なかには幼稚園教諭免許状もいっしょに取得できる学部や学科もあるため、同時に二つの資格を得られるのはメリットと言えますね。
実践的な知識を身につけられる
二つ目のメリットは、実践的な保育知識を身につけられる点です。
指定保育士養成施設では、卒業に必要な単位のなかに保育実習が含まれているケースがほとんどでしょう。
保育実習を通して座学だけではわからない子どもへの接し方や反応を学べるため、卒業後に現場に立った際に役立てられるかもしれません。
就職のサポートを受けられる
三つ目のメリットは、就職に向けたサポートを受けられる点です。
指定保育士養成施設は就職実績が多数あり、進路相談や就職先選びなどのサポートも手厚いことが多いよう。
また、地方の学校は地域の保育施設とのつながりを大事にしている場合もあるため、就職先が決まりやすいといった側面もありそうです。
デメリット
保育士資格の取得に時間がかかる
指定保育士養成施設に通うデメリットの一つとして、資格取得に時間がかかることが挙げられます。
4年制大学であれば4年、通信制や夜間コースを利用した場合でも2~3年の学習期間が必要です。
時間をかけてじっくりと勉強したい方には向いているものの、できるだけ早く保育士になりたい方や働きながら資格取得を目指す方にとってはマイナスポイントとなるかもしれません。
学費がかかる
もう一つのデメリットとして、学費がかかることが挙げられるでしょう。
学校によって異なりますが、一般的に年間100万円程度の学費が必要になります。通信制の場合でもトータル100万円程度かかるため、決して安いとは言えないでしょう。
経済的な負担を抑えながら保育士資格を取得したい方には、保育士試験に合格して資格を取得する方法が向いているかもしれませんね。
指定保育士養成施設について知り、資格取得を目指そう
今回は、保育士を目指すための学校「指定保育士養成施設」について紹介しました。
指定保育士養成施設とは、都道府県知事指定のもと運営されている、保育士を専門的に育成する学校です。
授業は昼間のほか夜間や通信制などでも開講されているため、社会人として働きながらでも保育士資格の取得を目指せるでしょう。
決して安い学費ではなく資格取得までに最低でも2年はかかりますが、通えば卒業と同時に資格を取得できたり実践的な知識を身につけられたりといったメリットがあります。
今回紹介した指定保育士養成施設の種類やメリット・デメリットを踏まえて、保育士を目指しましょう。
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