運動会の練習をスムーズに進めたいと悩む保育士さんもいるでしょう。かけっこやリレーなどの練習で、子どものやる気がみなぎるような配慮ができるとよいですね。今回は、保育園で行う運動会の練習における指導のポイントや、声かけの例などを紹介します。あわせて、運動会の練習を行うねらいをまとめました。
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■目次
保育園で運動会の練習を行うねらい
保育園で開催する運動会は、子どもたちが頑張ってきた練習の成果を保護者にお披露目する一大イベントでしょう。
運動会当日に向けて保育士さんが事前に行う準備は、プログラムや衣装の作成、飾りつけの製作など、多岐にわたります。
運動会の練習の指導を行うのも、当日に向けた大切な仕事のひとつと言えるでしょう。
保育園で運動会の練習を行うねらいとして、以下が考えられます。
- 思いきり身体を動かしながら、友だちと競い合う楽しさを知る
- 運動会当日に向け、友だちと協力しながら目標に向かって努力する
- 練習の成果を日々感じながら、運動会当日を楽しみに迎える
練習の進め方次第で、子どもは友だちとかけっこやリレーなどの競技をするおもしろさを味わえるかもしれません。
保育士さんの声かけにより、子どもが意欲的に練習に励めるとよいですね。
あらゆる準備を計画立てて行うことで、運動会の練習をスムーズに進めれられれば、当日までゆとりを持って指導できるかもしれません。
まずは、運動会当日までに保育士さんが準備することを、練習も含めて簡単にお伝えします。
保育園で行う運動会の当日までの準備の流れ
保育士さんが運動会当日までに準備することをまとめました。
1.プログラムの作成
子どもの発達状況に配慮しながら、年齢別にプログラムを立てていきましょう。
例えば10月に運動会を計画している場合、夏頃には子どもの成長段階を踏まえてどのような内容が子どもに合っているか考え始めるとよいでしょう。
ワンパターンにならないよう、例年のプログラムを参考に流行などを取り入れながら、毎年少しずつ変化を加えるとよいかもしれません。
2.子どもへの練習指導
運動会で行う競技やダンスなど遊戯の内容を決めたら、本番当日に向けて練習に入ります。
乳児クラスのかけっこでは、ゴールに向かって進む練習を取り入れるとよいでしょう。
幼児クラスの場合、普段の保育で前後左右の子どもの顔を覚えて隊列を作る練習を組み込んでみるとよいかもしれません。
子どもがある程度走る順番を待つ隊列を覚えられれば、本番でスムーズに進行できそうですね。
3.大道具や小道具の作成
保育士さん同士で協力し合い、運動会の門や看板、会場の飾りつけの製作をします。
また、ダンスで使う衣装のデザインを決めたり、競技などで必要な小道具を揃えたりしましょう。
保育士さんが製作するものと保護者が用意するものを確認し、本番に向け計画的に準備する必要があります。
4.配布物の作成
保護者用に、運動会の流れが分かるプログラムを作成して事前に配布しましょう。
さらに、運動会当日に向けての注意事項や協力してほしいことをお便りなどで知らせます。
保護者に用意してもらうものなどがある場合は、1カ月前を目安として、内容が決定した時点で早めに伝えるように配慮しましょう。
5.景品の準備
子どもや保護者へ渡す参加賞などの景品も、あらかじめ予算をたてて発注する必要があります。
何チームに分けて競うのかなど、競技の内容により用意する景品の数が変わるでしょう。
事前に全ての競技の詳細を決めてから、景品を準備するとよいかもしれません。
このように保育士さんは、運動会に向けてさまざまな準備作業を同時進行でこなす必要があるでしょう。
子どもの練習の指導をスムーズに行いつつ、その他のあらゆる準備を円滑に進められるよう計画的に行うことが大切です。
保育園で行う運動会の練習における指導のポイント
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子どもが前向きに励めるような運動会の練習の指導方法をまとめました。
褒め方を工夫する
日頃の保育活動と同様に、運動会の練習においても、小さなことでも子どものがんばっているところを見逃さないようにしましょう。
子どもの良い点を見つけたら、その場ですぐに伝えるとよいですね。
運動やダンスが苦手な子どももいるかもしれませんが、厳しく指導すると、練習を苦痛に感じさせてしまう可能性もあります。
子どもが自信をもって前向きに練習に励めるよう、努力を認めて褒めることが大切です。
短時間で集中して練習する
子どもが楽しく練習に参加できるよう、ダラダラと指導しないこともポイントです。
練習が間延びすると、子どもが集中できなくなるかもしれません。
保育士さんは子どもが飽きないように、短時間で要点をしぼりながら練習を進められるよう配慮しましょう。
子どもの能力に合わせて変更する
子どもが楽しく競技やダンスに参加するためには、練習の状況を踏まえて臨機応変に対応することも、保育士さんの援助として必要です。
例えばダンスを指導するにあたり、振りつけが子どもにとって難しいことがあるかもしれません。
そんなときは子どもが理解しやすい動きに変更することで、無理なく練習に取り組めるようになるでしょう。
かけっこなどの競技においても、子どもの体格や能力を揃えてチーム分けをするなど配慮すると、子どもが競争心をもって取り組むきっかけにつながるかもしれません。
指導のポイントを踏まえたうえで、次は具体的にどのように子どもへ声かけをするとよいのかを見ていきましょう。
保育園で行う運動会の練習における年齢別の声かけの例
先ほども述べたように、子どもが意欲的に運動会の練習に参加できるよう、保育士さんは子どものがんばっている姿を認め、小さなことでも褒めることがポイントです。
では、具体的にどのような声かけをするとよいのか、乳児クラスと幼児クラスに分けて見ていきましょう。
乳児クラス(0歳児・1歳児・2歳児)
0歳児クラスで保護者といっしょにハイハイ競争などを行う場合は、ゴールに向かって子どもがスムーズに進めるような声かけをするとよいかもしれません。
練習では、音が鳴る玩具を使ったり、保育士さんが保護者の代わりに声かけしたりしながら、子どもをゴールに向かって誘導するとよさそうです。
1.2歳児のクラスでは、以下の例のように、コースアウトしないよう声かけしたり、遊戯での立ち位置を伝えたりしましょう。
「△△ちゃん、こっちだよ!」
「△△くん、すごい!〇〇のところ、じょうずだね。」
「〇〇のようにすると、△△くんならもっとカッコよくできるよ。」
名前を呼びながら声かけすると、子どもは保育士さんの声に反応しやすいかもしれません。
保育士さんは子どもの目をみながら、笑顔で褒めるようにしましょう。
改善点などがあれば、いまの状況を認めながら伝えるよう配慮するとよさそうです。
幼児クラス(3歳児・4歳児・5歳児)
幼児クラスでは、ダンスやかけっこのほか、チームで協力しながら競えるリレー競技も組み込んだりするでしょう。
幼児クラスでも、練習中に具体的に褒めることで、子どもの「次も頑張ろう!」という意欲を育めるかもしれません。
「〇〇が昨日より上手にできるようになったね!練習を一生懸命がんばったからだね。」
「〇〇にしたらどうかな?もう一度挑戦してみよう!△△くんならできるよ!」
子どもに競技の説明やアドバイスをする際は、子どもの目線に立って話を短くまとめたり、分かりやすい言葉に言い直したりして伝えるとよいでしょう。
子どものがんばってきた過程を認め、他の子どもと比較するような言い方はしないよう配慮することも大切です。
運動会の練習期間は通常より体力を使うため、子どもは疲れて集中力が続かないこともあるかもしれません。
保育士さんは子どもを励まして応援するように、明るく笑顔で楽しい雰囲気を作れる声かけをしましょう。
練習の進め方を押さえて、スムーズに運動会当日を迎えよう
今回は、運動会の練習で保育士さんが心がけたい、子どもへの指導のポイントと声かけの例をまとめました。
子どもがかけっこやリレーなどの競技に楽しみながら取り組めるよう、保育士さんは子どものがんばっている姿を認めながら声かけしましょう。
また、もし子どもが失敗した場合でも、一生懸命取り組んだ過程を褒めることが大切です。
子どもは褒めてもらえることで、自己肯定感が高められ、練習に前向きに取り組めるかもしれません。
全員が楽しく参加できるよう練習の進め方を工夫し、運動会当日を楽しく迎えられるとよいですね。