保育士の残業時間は「月平均3時間」とされていますが、実際の現場では、サービス残業や持ち帰りの仕事が多く、悩みを抱く方もいるでしょう。行事準備や書類業務の多さ、人手不足や「早く帰りづらい」空気などが重なり、長時間労働が当たり前になっている園も…。今回は、保育士のサービス残業が当たり前になってしまう背景や残業代の未払いの解決事例、残業を減らすための4STEPを解説!安心してあなたが働ける方法を考えてみましょう。
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保育士のサービス残業が「当たり前」になっている現状!
厚生労働省が2025年度に公表したデータでは、保育士の残業時間は月平均で約3時間。
この時間を月の労働日数平均である20日で割ると、一日に換算するとわずか9分。
一見すると残業は少ないように見えますが、この数値と現実に大きなギャップを感じる保育士さんも多いのではないでしょうか。
実際の現場では、子どもへの対応に追われて日中に終えられなかった業務を、定時後や休日に持ち帰って行っているケースもあります。その時間は勤務時間として扱われず、「賃金が支払われないまま働いている=サービス残業」となっている場合もあるようです。
サービス残業が当たり前になり、毎日のように長時間勤務を繰り返していると、体調を崩したり、退職を考えたりと働き方に悩む保育士さんもいるかもしれません。
本来、サービス残業や持ち帰りで仕事をするなどの賃金の発生しない状況は、労働基準法違反です。
しかし、こうした働き方が当たり前のように行われている背景には、さまざまな要因があると考えられます。
なぜ保育士のサービス残業が「当たり前」になってしまうのか
保育士さんの仕事は、子どものお世話や遊びのサポートだけでなく、書類作成や行事の準備など、さまざまな業務があります。
文部科学省が公表した「幼稚園・認定こども園における勤務改善事例集(2023年)」によると、各業務にかかる時間的な負担を調査した結果、多くの職員が日常的な業務に負担を感じていることがわかりました。
引用:幼稚園・認定こども園における勤務改善事例集
特に、行事の企画運営や備品管理、書類作成、連絡帳の記入といった業務に負担を感じる先生がいることがわかります。
こうした業務量の多さに悩む声も少なくありません。
上記の調査の対象は幼稚園や認定こども園の先生方ですが、子どもに関わる業務が中心となる保育園でも、近い状況にあると考えられます。
こうした業務が勤務時間内に終わらず、結果的にサービス残業につながってしまうこともあるでしょう。
ここからは、サービス残業が当たり前になってしまう主な理由について、保育士さんの声をもとにまとめました。
昔からの慣例で書類作成は後回し!持ち帰り仕事が当たり前
このように、日中に書類を仕上げる時間が取れず、定時後や自宅に持ち帰って仕事をする保育士さんも少なくありません。
園の方針で、昔から持ち帰り仕事が習慣化している場合もあるでしょう。
行事準備・人手不足によるサービス残業の発生
行事が近づくと業務量が増える園は多いもの。
また、人手不足も重なれば、サービス残業が続く場合があるでしょう。
体調を崩したり精神的に落ち込んだりしてしまう保育士さんもおり、負担の大きさは計り知れません。
「早く帰ると評価が下がる」空気感
定時で帰ることへの後ろめたさや周囲の空気に合わせようとする気持ちから、なかなか仕事を切り上げられない保育士さんもいるようです。
職員同士の雰囲気が作り上げる「帰りづらさ」が、サービス残業を常態化させてしまうこともあるでしょう。
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サービス残業は違法!社会福祉施設で起きた未払い残業代の解決事例
サービス残業が常態化している園では、本来受け取れるはずだった残業代が支払われていない場合も多いかもしれません。
労働基準法第37条では、雇用側が労働者に残業をさせた場合は25%以上の割増賃金を支払う義務があると定められています。
実際に、社会福祉施設(保育園や介護福祉などを含む)で残業代が支払われていなかったケースが発覚し、後に未払い分がまとめて支給された事例があります。
厚生労働省が令和6年に公表した事例は以下の通りです。
【残業未払いが発覚!社会福祉施設で起きた事例】
1カ月80時間を超える時間外労働が疑われ、労働基準監督署(労基署)が立入調査を実施。
<立入調査で判明した違反>
・本来は「職能手当」なども含めて残業代を計算する必要があるにもかかわらず、除外して算出していた
・週40時間を超えた分の残業代が支払われていなかった
・タイムカードと自己申告時間に最大2時間の差があり、未払いが発生していた
<労基署による指導後の施設の対応>
・本来含めるべき手当も加えて残業代を計算し直し、不足分を追加で支給した
・過去の勤務実態もさかのぼって調査し、未払いがあった分を追加で支給した
・今後は、タイムカードと自己申告の残業時間に差があった場合、管理者がその理由を日々確認することにした
上記の事例では、手当を含めずに残業代を計算していたことや、実際の労働時間より少ない自己申告に基づいて残業代を支払っていたことが問題となりました。
労基署の調査をきっかけに、過去分も含めて正しい金額で残業代が支払われるようになり、勤務時間を正確に記録・確認する仕組みも整えられました。
このような事例を見ると、サービス残業が続いている職場でも、相談や調査を通して状況が改善される場合があることがわかります。
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サービス残業&持ち帰り仕事を減らすためにできる4つのSTEP

サービス残業や持ち帰り仕事をなくすには、現在の働き方を見直すことも大切です。
ここからは、保育士さん一人ひとりが負担を減らし、安心して働き続けるための4つのステップを紹介します。
STEP1|「自分の働き方」を見える化する
まずは、自分がどのくらい働いているのかを把握することから始めましょう。
負担の実態を数字で示せるようにしておくと、あとで園に相談するときの根拠にもなります。
【メモの内容】
・出勤・退勤時刻
・タイムカードの記録
・持ち帰り作業の内容と所要時間
・休憩を取れたかどうか
・残業や持ち帰りが発生した理由(行事準備、書類作成など)
「自分の仕事の進め方が遅かったから」と一人で抱え込む必要はありません。
まずは事実を記録して状況を把握することが、負担を減らすための第一歩です。
STEP2|同じ悩みをもつ同僚と共有する
負担を一人で抱え込んでいると、「自分だけが今の状況に不満を抱いているのかも」と不安になってしまいます。
しかし、実際には、同じように悩んでいる同僚がいることも考えられます。
仕事量や残業の状況を共有し合うことで、「自分だけじゃなかった」と気づけるだけでなく、業務を分担したり、一緒に改善策を考えたりするきっかけになりそうです。
相談しづらいときは、まずは気軽に話せる先輩や同期に「最近すごく忙しくて…」と打ち明けてみるのもよいでしょう。
STEP3|負担業務を具体的に洗い出し、相談する
続いて、自分が担当している業務をすべて書き出してみましょう。
「昔からこうしているから」「前から取り組んでいたことだから」と続けている業務のなかには、本当に必要ではない業務が含まれているかもしれません。
同僚に相談できる場合は、一緒に仕事の内容を書き出して見直すことも大切です。
【見直しの例】
毎月製作していた壁面物
・子どもの作品や写真を飾る方式に変更
・過去の製作物を再利用・リメイクして活用
・壁面を季節ごと(2〜3カ月に1回)にするなど更新頻度を減らす
行事の装飾
・毎年同じデザインを再利用して時間を短縮
・子どもが作った作品を装飾として取り入れ、職員の作業を軽減
・市販の装飾アイテムを活用して準備の手間を減らす
連絡帳
・ICT化で自動入力を取り入れ、記入負担を軽減
・定型文や写真の共有を導入して手書き量を最小限に
・子ども一人ひとりに書く量を見直し、要点のみを簡潔にまとめる
業務の内容や所要時間を具体的に示しながら、主任や園長先生に相談してみましょう。
事実に基づいて伝えることで、分担や業務削減などの具体的な話し合いをしやすくなります。
STEP4|園全体での業務見直し・仕組み改善を提案する
続いて、園全体で働き方を見直し、業務を共有・分担できる状態に改善することはできないか、提案してみましょう。
昔からのやり方が根づいている場合は、すぐに変えることが難しいかもしれません。
少しずつ仕組みを見直すと、負担を減らせる可能性があります。
【改善の例】
・職員の得意・不得意に合わせて役割分担表を作成する
誰が何を担当するのかが明確になり、業務の偏りを防ぎやすくなる
・繰り返し使用できる書類テンプレートを活用する
行事案内や保護者向けのお知らせなど、毎回一から作る手間を省く
・ICT化で連絡帳や出欠管理をデジタル化する
手書きの時間を減らし、記録の入力・確認を効率化できる
役割分担や業務の効率化、負担を減らす工夫を日ごろから取り入れておくと、忙しい時期も心に余裕を持って働きやすくなるでしょう。
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出典:賃金不払残業(サービス残業)の解消のための取組事例集/厚生労働省出典:幼稚園・認定こども園における勤務改善事例集出典:労働基準法出典:監督指導状況(令和6年)出典:総合労働相談コーナーのご案内/厚生労働省
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