障害児通所施設とは、発達障害や知的障害などのある子どもが、自宅から通いながら療育や生活訓練を受けられる福祉サービス施設のことです。児童福祉法に基づき、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの種類があり、全国の利用者数は約45.7万人にのぼります。今回は、施設の種類ごとの支援内容や利用方法に加え、保育士資格を活かして働くための情報を紹介します。
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障害児通所施設とは、障がいのある子どもが通える「療育専門施設」
障害児通所施設とは、児童福祉法に基づき、障がいや発達に特性のある子どもが、日常生活の自立に必要な訓練や集団生活への適応訓練などを、自宅から通いながら受けられる療育施設です。
同法第6条の2の2では、障害児通所支援として「児童発達支援」「放課後等デイサービス」「保育所等訪問支援」が定められています。
対象者は「支援を必要とする子ども」
対象となるのは、身体障害・知的障害・精神障害(発達障がいを含む)のある18歳未満の子どもです。
ただ、障害者手帳や療育手帳の有無は問わず、児童相談所や医師等によって支援の必要性が認められた子どもも対象になります。
また、利用するには、市区町村から「通所受給者証」の交付を受ける必要があります。
月額費用は多くが「4,600円以内」
自己負担は原則1割で、世帯の所得に応じて月額の上限が設定されています。
具体的には、
- 生活保護世帯は0円
- 市町村民税非課税世帯は0円
- 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満)は月額4,600円
- 上記以外は、月額37,200円が上限
つまり、多くの世帯では月額4,600円以内で利用できるしくみになっています。
また、3歳〜5歳の子どもが児童発達支援を利用する場合は、幼児教育・保育の無償化の対象となり、利用者負担が無償となります。
おやつ代や教材費などの実費は別途かかる場合がありますが、経済的にも安心して利用できるサービスですね。
通所型と入所型の違いは「自宅から通う」か「施設に住む」かの違い
障がいのある子どもが利用できる施設には、通所型と入所型の2種類があります。
通所型は、子どもが自宅から施設に通い、日中の支援を受ける形態です。
保育園や学童保育のように、決まった時間に通って帰宅するイメージを持つとわかりやすいでしょう。
一方、入所型は施設に入所して24時間体制で生活支援を受ける形態であり、自宅での生活が困難な場合などに利用されます。
また、入所型施設は福祉型と医療型の2種類に分かれており、全国で福祉型240施設・医療型256施設が運営されています。
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障害児通所施設は大きく分けて4種類
障害児通所支援は、子どもの年齢や支援のかたちによっていくつかの種類に分かれています。ここでは、代表的な4つのサービスについて、それぞれの対象や支援内容を見ていきましょう。
児童発達支援~0〜6歳の未就学児を対象~
児童発達支援は、主に未就学の子ども(0〜6歳)を対象に、日常生活の基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練、ことば・運動・社会性の発達を促す療育プログラムを提供するサービスです。
施設としては「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」の2つがあります。
児童発達支援センターは地域の中核拠点として、通所支援に加え、地域の事業所への助言や相談支援などの機能を担います。
一方、児童発達支援事業所は身近な療育の場として、より日常的な通所支援を提供しています。
2025年4月施行の改正児童福祉法により、それまで別の類型だった「医療型児童発達支援」は児童発達支援に一元化されました。
肢体不自由のある子どもへの医療的ケアを含む支援も、児童発達支援の枠組みの中で提供されるようになったのです。
2022年時点で全国の児童発達支援事業所は約1万2,000カ所、利用者数は約15万人に達しており、制度創設以降、大幅に拡大してきました。
児童発達支援について詳しく聞く放課後等デイサービス~6歳〜18歳の就学児を対象~
放課後等デイサービスは、小学生から高校生までの就学児(6〜18歳)を対象に、放課後や休日に通って支援を受けるサービスです。
学校の授業終了後や長期休暇中に通い、生活能力の向上に必要な訓練や社会との交流促進のための支援を受けます。
「障がいのある子どもの学童保育」というイメージが近いかもしれません。
ただし、学童保育が「預かり」を主な目的としているのに対して、放課後等デイサービスでは個別支援計画に基づいた療育プログラムの提供が重視されている点が異なります。
2022年時点で全国の事業所数は約2万カ所、利用者数は約30万人です。
2012年の制度創設時から大幅に増加しているなかで、利用ニーズの高まりを受けて事業所数が急速に伸びた一方、支援の質にばらつきがあるという課題も指摘されています。
こうした背景から、2025年7月にはガイドラインが改訂され、支援の質の確保・向上が一層求められるようになりました。
放課後等デイサービスについて詳しく聞く保育所等訪問支援~子どもが通う保育園や学校に支援員が出向く形態~
保育所等訪問支援は、「施設に通う」タイプではなく、支援員が子どもの通っている保育園・幼稚園・小学校などを訪問して支援を行うサービスです。
集団生活の中でその子がうまく適応できるよう、直接的な援助と訪問先の職員への助言の両方を行います。
対象となる訪問先は以下の通りです。
- 保育園
- 幼稚園
- 認定こども園
- 小学校
- 特別支援学校
- 乳児院
- 児童養護施設
- 放課後児童クラブ
保護者が市区町村に申請し、支給決定を受けてから利用開始となります。
居宅訪問型児童発達支援~外出が困難な子どもの自宅で支援~
居宅訪問型児童発達支援は、重度の障がいなどで外出が著しく困難な子どもに対して、支援員が自宅を訪問して発達支援を行うサービスです。
2018年に創設された比較的新しい類型で、児童発達支援や放課後等デイサービスに通うことが難しい子どもを対象としています。
通所が前提の他のサービスとは異なり、「子どものもとへ支援者が訪問する形」という点が大きな特徴です。
医療的ケアが必要な子どもや、重い行動障がいのある子どもにとって、在宅で専門的な発達支援を受けられる貴重な選択肢になっています。
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障害児通所施設を利用する流れは5ステップ
「障がい児通所施設を利用したい」と感じた時、最初に何をすればいいのかがわからず、踏み出せないという保護者の方は少なくありません。
ここでは、利用開始までの具体的な手順を5つのステップに整理して紹介します。
利用開始までの具体的な手順
自治体によって手順に違いがありますが、一般的な例は以下の通りです。
1. 相談
2. 申請
3. 計画
4. 受給者証交付
5. 利用開始
障害児通所施設を利用するまでの一般的な流れは5つのステップです。
ステップ1市区町村の障害福祉窓口または相談支援事業所に相談する
「うちの子に合う施設はあるか」「受給者証はどうやって取るのか」など、まずは聞いてみるところから始まります。
▼
ステップ2市区町村に通所受給者証の申請を行う
申請の際には、医師の診断書や意見書、発達検査の結果などが求められることがありますが、障害者手帳がなくても申請は可能です。
▼
ステップ3相談支援専門員が「障害児支援利用計画」を作成する
計画書は、どのサービスをどのくらいの頻度で利用するかを整理した個別の計画書です。
▼
ステップ4市区町村から通所受給者証が交付される
受給者証には、利用できるサービスの種類や支給量(利用日数)が記載されています。
▼
ステップ5利用したい事業所と契約を結び、通所を開始する
見学や体験を経てから契約し、通所が開始されます。
なお、送迎サービスを実施している事業所も多くあります。保護者が毎回送り迎えをする必要がないケースもあるため、通所の負担は想像よりも軽いことが多いです。
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障害児通所施設の役割とは「療育」「自立支援」「居場所づくり」「家族支援」
障害児通所施設は「障がいのある子どもを預かる場所」というだけではありません。子どもの発達を支え、家族の暮らし全体を支える役割を担っています。
療育を通じて子どもの発達を支援し、日常生活の力を伸ばす
障害児通所施設で提供される支援の中心は「療育」です。
療育とは、障がいのある子どもの発達を促し、日常生活や社会生活に必要な力を育てるための専門的な支援のことです。
具体的には、
- 言語聴覚療法(ことばの発達支援)
- 作業療法(手先の動きや日常動作の練習)
- 感覚統合療法(感覚の偏りへの対応)
- ソーシャルスキルトレーニング(対人関係の練習)
などが代表的なプログラムとして挙げられます。
支援の基本にあるのは、一人ひとりに合わせた「個別支援計画」です。
児童発達支援管理責任者(児発管)が、子どもの障害特性や発達段階に応じて計画を作成し、その計画に沿って支援が進められます。
放課後や日中の「安心できる居場所」として子どもを支える
障害児通所施設は、療育を行うだけでなく、子どもが安心して過ごせる「居場所」としても大きな意味を持っています。
学校や保育園での集団生活になじめず、居場所がないと感じている子どもにとっては、通所施設は「自分のペースで過ごせる場所」となるでしょう。
また、少人数の環境で、自分を理解してくれるスタッフがいるという安心感は、子どもの情緒の安定や自己肯定感の向上にもつながります。
保護者の負担軽減(レスパイト)と家族支援も重要な役割である
障害児通所施設のもう一つの重要な役割が、保護者の支援です。
日中や放課後に子どもを預かることで、保護者が仕事をしたり、休息をとったりする時間を確保できるでしょう。
これは「レスパイト(一時的な休息)」と呼ばれ、家族全体の生活を支えるうえで欠かせない機能です。
加えて、多くの事業所では保護者向けの相談支援や情報提供、ペアレントトレーニング(子どもへの関わり方を学ぶプログラム)なども実施しています。
障がいのある子どもの子育ては孤立しやすいといわれますが、通所施設を利用することで「相談できる場」ができるのは大きなメリットといえるでしょう。
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つまり、療育に関する追加の資格がなくても、保育士資格だけで勤務をスタートできるのです。
現場では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職と連携する場面が多くあります。
保育士として培ってきた「子どもの生活全体を見る力」や「保護者とのコミュニケーション力」は、チームの中で大いに求められるスキルです。
児童発達支援管理責任者(児発管)を目指せる
さらにキャリアアップを目指す場合は、「児童発達支援管理責任者(児発管)」を取得する道があります。
児発管になるには、障害児・障害者支援や保育などの実務経験(3〜5年以上)に加えて、所定の研修を修了する必要があります。
サービス管理や個別支援計画の作成を担う中核的なポジションであり、保育士からのキャリアチェンジとして目指す方が増えており、年収が500万以上という方もいます。
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子どもの人数
保育園では1クラス20〜30人程度の集団保育が中心ですが、障害児通所施設では1日の定員が10名前後のことが多く、少人数で一人ひとりに深く関わる支援が中心になります。
勤務時間
放課後等デイサービスの場合、子どもが来るのは学校が終わった後の午後〜夕方がメインです。
そのため、早番がなく10時〜19時のような勤務パターンの事業所もあり、生活リズムが保育園とは変わることがあります。
一方、児童発達支援は日中の支援が中心となるため、保育園に近い時間帯で働けるケースが多いです。
給料
給料については、月給約22万円〜30万円程度が目安です。
ただし、事業所の規模や地域による差が大きいのが実情です。
処遇改善加算の適用がある事業所では、保育園と同水準かやや高めになることもあります。
また、小規模な事業所では基本給が低めに設定されている場合もあるため、求人を比較する際は基本給・手当・賞与を含めた年収ベースで確認することが大切です。
保育士バンク!に給料相談事業所数・利用者数ともに増加傾向で将来性がある
障害児通所支援は、拡大している分野です。
これは、発達障がいについて幅広く認知されたことや障がい児を支援する仕組みが整備されたことがあげられるでしょう。
また、事業所の数が増える一方、支援の質を確保できる人材の不足が大きな課題になっています。
専門性を持った保育士は、今後ますます必要とされる存在です。
「保育のキャリアを活かしながら、療育の分野でスキルアップしたい」という方にとっては、将来性のある選択肢といえるでしょう。
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障害児通所施設に関するよくある質問Q&A
障害児通所施設についての疑問をまとめました。
Q.障害者手帳がなくても利用できるのか
障害者手帳や療育手帳を持っていなくても、障害児通所施設を利用できる場合があります。
市区町村が「支援の必要性がある」と認めれば、通所受給者証が交付され、利用が可能です。
「手帳がないから使えない」と思い込んで諦めている保護者の方もいますが、まずは市区町村の障害福祉窓口に相談することが大切です。
Q.保育士資格だけで働けるのか
保育士資格は児童発達支援・放課後等デイサービスの人員配置基準を満たす資格として認められています。
療育の専門資格がなくても、保育士としてそのまま勤務をスタートできます。
Q.児童発達支援と放課後等デイサービスの違いは?
児童発達支援は0〜6歳(未就学児)が対象で、日中に利用するサービスです。一方、放課後等デイサービスは6〜18歳(就学児)が対象で、放課後や休日に利用します。
支援の基本的な方向性(療育・自立支援)は共通していますが、年齢に応じたプログラムの内容や、提供時間帯が異なります。
出典:障害児支援施策について/こども家庭庁 出典:利用者負担の仕組み/こども家庭庁 出典:障害児入所施設について/こども家庭庁 出典:最近の障害児支援行政の動向について/こども家庭庁 出典:放課後等デイサービスガイドライン/こども家庭庁 出典:就学前障害児の発達支援の無償化について/厚生労働省 出典:障害児入所施設運営指針/厚生労働省
障害児通所施設は子どもの成長と保護者の生活を支える大切な存在
障害児通所施設は、障がいや特性のある子ども、保護者を支える、地域に欠かせない施設です。
利用者数は年々増えており、保育士が「一人ひとりに寄り添う保育」を実現しながらキャリアを広げるチャンスも増えています。
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