「公立保育士は安定しているから辞めるのはもったいない」と感じつつ、人間関係や異動、キャリアの閉塞感などに限界を感じていませんか?実は、処遇改善により私立保育園の待遇は劇的に進化しています。今回は、公立保育士を辞めたい7つの理由、公立と私立の給与を徹底比較。退職するメリット・デメリット、辞めた後のキャリアについても詳しく紹介します。
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公立保育士が「辞めたい」と感じる7つの理由
公立保育士が辞めたいと感じる背景には、人間関係や異動制度、キャリアの停滞感など、公立保育園の構造的な要因があります。
「辞めたい」と思うのは、あなたの能力不足でも甘えでもありません。まずは、よくある理由を一つずつ確認しながら、自分の気持ちを整理してみましょう。
1.ベテラン職員との人間関係がつらい
公立保育園は離職率が低い分、長く勤めているベテラン保育士が多い傾向にあります。
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」によると、公立保育園の離職率は5.9%で、私立保育園の10.7%と比べるとかなり低い水準です(2017年調べ)。
裏を返せば、勤続年数の長い職員が多く在籍しているということでもあります。
年功序列の意識が根強い職場では、若手が意見を言いにくい空気が生まれやすくなることもあるでしょう。
「もっとこうしたほうがいいのに」と思っても、ベテランの前では口をつぐんでしまう。
自分の保育観を活かせない窮屈さに、日々ストレスを感じることもあるでしょう。
また、公立保育園は私立と比べて職員の年齢層が高い傾向があり、同年代の仲間が少ないことで孤立感を抱きやすい傾向にあるようです。
相談できる相手がいないまま悩みが積み重なると、「もう限界かも…」と感じてしまうことも少なくありません。
2.数年ごとの異動で心身が疲弊する
公立保育園では、おおむね3〜5年ごとに勤務先の園が変わる定期異動があります。
さまざまな園で経験を積めるのはメリットですが、せっかく築いた人間関係や保育のやり方がリセットされてしまうことに、大きな負担を感じる方は少なくありません。
通勤ルートが変わることで生活リズムが崩れたり、新しい環境に慣れるまでの間に精神的な疲労がたまったりと、異動のたびに心身をすり減らしている方もいるでしょう。
さらに、公立保育園の異動は保育園以外の施設(児童館、子育て支援センターなど)に配属される可能性もあり、希望どおりにいかないケースも珍しくありません。
「異動については自分でコントロールできない」という感覚が、ストレスの原因になっていることもあります。
3.園長が変わるたびに方針が変わる
異動は一般の保育士だけでなく、園長や主任などの管理職にも適用されます。
つまり、園のトップが変わるたびに、保育方針や運営ルールがガラッと変わることがあるのです。
「去年までOKだったやり方が、今年はNG」という状況に振り回されると、何を基準に保育をすればいいのか分からなくなってしまいます。
自分が大切にしている保育観と園の新しい方針が合わないとき、やりがいを見失ってしまう方は少なくないようです。
4.年功序列でキャリアアップが見えにくい
公務員保育士の給与は年功序列が基本です。
安定しているのは間違いありませんが、若手のうちは給料がなかなか上がらず、「頑張っても報われない」と感じる場面があるかもしれません。
こども家庭庁の「令和6年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、常勤保育士の1人当たり給与月額(賞与込み)は
| 公立 | 私立 | |||
|---|---|---|---|---|
| 一般保育士 | 常勤 | 36万3,315円 | 常勤 | 34万1,468円 |
| 非常勤 | 20万1,380円 | 非常勤 | 20万6,788円 | |
| 主任保育士 | 常勤 | 56万2,944円 | 常勤 | 47万2,529円 |
| 非常勤 | 24万7円 | 非常勤 | 35万3,122円 | |
| 施設長(園長) | 常勤 | 64万5,307円 | 常勤 | 58万0,354円 |
| 非常勤 | 22万2,165円 | 非常勤 | 39万6,076円 | |
役職につかない保育士さんの想定年収に換算すると、公立が約436万円、私立が約410万円で、公立のほうが約26万円高くなっています。
ただし、この差は勤続年数の長さによる昇給が大きく影響しています。
若手の段階では、私立保育園とほとんど差がないか、もしくは園によっては私立保育園のほうが高いケースもあります。
また、主任や園長といった役職のポストは限られており、キャリアアップの道筋がなかなか見えにくいと悩む方もいるでしょう。
「このまま何年も同じ立場で同じ仕事を続けるのか…」という閉塞感が、辞めたい気持ちにつながることもありそうです。
5.形式的な事務作業が多く、保育に集中できない
公立保育園は行政の管轄で運営されているため、報告書類や行政向けの事務作業が多くなりがちです。
そんなもどかしさを感じている方もいるのではないでしょうか。
ICTの導入が進んでいない園もまだ少なくなく、いまだに手書きの指導案や紙ベースの連絡帳が残る園もあるようです。
業務の効率化が遅れている環境では、「この作業に意味があるのかな…」と疲弊してしまうのも無理はありません。
6.「公務員だから」というプレッシャーが重い
公立保育園で働いていると、保護者や地域の方から「公務員なんだから、きちんとしてくれて当然」という目で見られることがあるでしょう。
ちょっとした対応のミスでも厳しく指摘されたり、「税金で働いているんでしょう」と言われてしまうこともあるかもしれません。
もちろんプロとしての自覚は大切ですが、常に完璧を求められるプレッシャーは、想像以上にストレスになりそうです。
保護者対応の負担に加えて、保育業務と事務作業の両立、人間関係のストレスが重なると、心身のバランスを崩してしまうこともあります。
もし、「朝起きるのがつらい」「眠れない日が続く」「食欲がない」などの症状が出ているなら、それは体からのSOSかもしれません。
まずは自身の体を大切にするためにも、休職という選択肢を視野に考えてみましょう。
7.自分のやりたい保育ができない
公立保育園は自治体の方針に沿った運営が求められるため、保育士個人の工夫や個性を発揮しにくい面もあるかもしれません。
「こういう活動を取り入れてみたい」「もっと子ども主体の保育がしたい」と思っても、決裁に時間がかかったり、前例がないという理由で却下されたりすることも。
という声は決して珍しくありません。
保育への熱意がある人ほど制約があると、退職を考える場合があるでしょう。
つらい気持ちを一人で抱え込まないで。相談することで解決するかも辞める決断の前に!試してほしい3つの対処法
「辞めたい」と感じたとき、すぐに退職届を出す前にできることがあります。
環境を変えるだけで気持ちが楽になるケースもあるので、まずは以下の3つを検討してみてくださいね。
1.異動希望届を出してみる
辞めたい理由が「今の園の人間関係」や「特定の上司との相性」にある場合、異動によって状況が大きく変わる可能性があります。
公立保育士には、人事異動の前に意向調査(異動希望届)を出せる仕組みがある自治体がほとんどです。
必ずしも希望どおりになるとは限りませんが、意向を伝えておくこと自体に意味があります。
また、園が変われば人間関係もリセットされます。
「保育の仕事自体は好きだけど、今の環境がつらい」という方は、異動を試してみるのがおすすめです。
また、公立保育士は保育園だけでなく、児童館や子育て支援センターといった他の児童福祉施設に異動できる場合もあります。
働き方の幅が広がることで、新たなやりがいを見つけられるかもしれません。
2.休暇・休職制度を使って心身を休める
地方公務員には、一般的な有給休暇に加えて、病気休暇(多くの自治体で最大90日程度)や病気休職の制度があります。
「毎朝、園に行くのがつらい」「夜眠れない日が続いている」「涙が止まらないことがある」。
こうした状態が続いているなら、無理をせず休むことを選ぶことも大切です。
病院を受診し、医師の診断書があれば病気休暇を取得できる場合がほとんどのようです。
疲れ切った状態で「辞める」「続ける」の大きな決断をすると、あとから後悔することもあります。
まずは心と体を整えてから、改めてキャリアのことを考えても遅くはありません。
3.「辞めたい理由」を紙に書き出して整理する
漠然と「辞めたい」と思っているときは、頭の中がごちゃごちゃしていて、冷静な判断が難しくなっていることが多いです。
そんなときは、辞めたい理由をすべて紙に書き出してみてください。
- 人間関係
- 異動
- 給料
- 保育方針
- 体力的な限界
書き出したあとに、それぞれの理由に優先順位をつけてみましょう。
すると、「一番つらいのは特定の先輩との関係で、保育自体は好き」など、自分が本当に何に悩んでいるのかが見えてきます。
気持ちの整理ができると、「異動で解決できるかも」「保育園を変えれば済む話かも」など、自分の希望が明確になるでしょう。
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公立保育士を辞めるメリット
辞めるかどうかの判断で大切なのは、よい面だけでなくリスクもきちんと把握しておくことです。
まずは、退職のメリットを見ていきましょう。
心の平穏を取り戻し、自分らしい保育へ
まず挙げられるのは、精神的な負担からの解放です。
人間関係や職場の古い慣習で追い詰められていた場合、環境を変えるだけで驚くほど気持ちが楽になったという方もいます。
「この園のやり方が自分に向いている」という思い込みを捨てれば、自分の保育観にぴったりの園や、スキル・意欲を正当に評価してくれる職場に巡り会えるチャンスが広がります。
「公立保育園超え」も珍しくない!進む処遇改善
私立保育園の待遇は劇的に進化しています。
大きな転換点となったのは2017年(平成29年)。
国による「処遇改善等加算II」の導入により、主任にならなくても月額5,000円〜4万円の手当がつく「専門リーダー」などの中間ポストが新設されました。
年功序列を待つしかない公立に対し、私立は若いうちからキャリアアップと給与アップを同時に狙えるのが大きな魅力です。
手残り額が増える宿舎借り上げ支援(家賃補助)
自治体によりますが、家賃補助(宿舎借り上げ支援事業)を導入する私立保育園も増え、月額最大8万2,000円程度の補助が出るケースが一般的です。
公務員の住居手当(多くは2万8,000円程度)に比べるとその差は歴然。
額面の給与が同じでも、住居費を浮かせられる分、実際に自由に使えるお金は「私立保育園で働いた方が給料がアップする」という場合もあるでしょう。
保育士資格を活用して多彩なキャリアを築く
今の職場を辞めることは、保育現場を離れることだけを意味しません。
企業内保育、ベビーシッター、療育、さらには保育の知見を活かした運営職やコンサルタントなど、保育士資格を活かせるフィールドは想像以上に広がっています。
一つの場所に縛られず、自分らしい働き方を選ぶことも考えてみましょう。
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公立保育士を辞めるデメリット
公立保育士を辞めると、どんなリスクがあるのかを確認してみましょう。
「年功序列」による将来の昇給チャンスを失う
公立保育士の最大の強みは、長く勤めるほど確実に給与が上がっていく給料体系です。
子ども家庭庁の調査データでは、主任クラスになると公立と私立で月額約9万円(年収換算で100万円以上)もの差が開いています。
若手のうちは私立保育園と変わらなくても、40代、50代となったときの給料が高く、安定した収入を得られるでしょう。
退職金が少なくなる恐れがある
自治体にもよりますが、定年まで勤め上げた場合の公務員の退職金は2,000万円前後になるケースが多く、私立保育園と比較しても高水準に設定されています。
もちろん私立保育園にも退職金制度はありますが、積立制度では公務員ほどの支給額に届かないケースがほとんどです。
そのため、将来の老後の資金もふまえて、慎重な判断が必要です。
一度辞めると「公務員」に戻るのは至難の業
私立から別の私立へ移るのは比較的スムーズですが、公立保育士(正規職員)に戻るには、再び厳しい公務員試験を突破し、年齢制限などの壁も越えなければなりません。
「やっぱり公務員がよかった」と後悔しても、中途採用の枠は狭いため、戻るのは難しいでしょう。
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保育経験を活かせる他の仕事に就く
保育園以外にも、保育士の資格や経験を活かせる職場はたくさんあります。
たとえば、児童発達支援・放課後等デイサービス(療育分野)は近年ニーズが高まっており、保育経験が大いに活かせる分野です。
子ども一人ひとりとじっくり向き合える環境で、「もっと丁寧に子どもと関わりたい」という方に人気があります。
そのほかにも、病院内保育所、企業内保育所、ベビーシッター、本社スタッフといった選択肢はたくさんあります。
保育業界を離れて異業種に転職する
「もう保育の仕事自体から離れたい」と感じている場合は、異業種への転職も可能です。
公立保育士として働いてきた方には、実はさまざまな転職市場で評価されるスキルが身についています。
- 保護者や同僚との折衝で鍛えたコミュニケーション力
- 行政書類を正確にこなしてきた事務処理能力
- 複数の業務を同時進行するマルチタスク力
- チームで連携して仕事を回す力
実際に保育士からの転職先としては、一般事務・医療事務、福祉関連の相談員、教育サービスのスタッフ、接客・販売職などが多く見られます。
あなたの経験が活きる職場を紹介!退職を決めたら押さえておきたい5つのポイント
退職の意思が固まったら、スムーズに進めるためのポイントを確認しておきましょう。
1.退職を伝える相手とタイミング
最初に伝えるのは、直属の上司(園長や主任)です。同僚に先に話してしまうと、噂が広がってトラブルの原因になることもあるため、順番は大切にしてください。
タイミングとしては、保育園は年度単位で運営されているため、3月末での退職が一般的です。
自治体の人事計画が動き始める秋〜年末ごろまでに意向を伝えると、引き継ぎもスムーズに進みやすくなります。
ただし、心身の状態が深刻な場合は、年度末まで我慢する必要はありません。民法第627条では、退職の申し出から2週間で雇用関係を終了できると定められています。
2.退職届の提出
公立保育士は公務員にあたるため、退職届(辞職願)の書式や提出先は自治体によって異なります。
所属の人事課や総務課に確認して、正しい手続きを踏むようにしましょう。
3.退職金の事前確認
先述のとおり、地方公務員の退職金は勤続年数によって大きく変わります。
「あと1年続ければ金額が大きく変わる」というケースもあるため、退職前に必ず確認しておくことをおすすめします。
4.転職活動は在職中から始める
退職後にブランクが空くと、転職活動へのプレッシャーが増してしまいがちです。
在職中から情報収集を始め、保育業界専門の転職エージェントに登録しておくと、効率よく進められます。
転職エージェントを利用すれば、求人票には載っていない園の雰囲気や人間関係の情報を教えてもらえることもあります。
次のキャリアへの第一歩無料で相談してみる【体験談】公立保育士を辞めた人のリアルな声
ここでは、実際に公立保育士を辞めた方の声をもとに、「辞めてよかったこと」と「大変だったこと」の両面を紹介します。
辞めてよかったと感じた声
「人間関係のストレスから解放されたこと」が、辞めてよかった理由として多く挙げられています。
辞めた後に大変だったこと
公立保育士を辞めたい人によくある質問Q&A
Q.公立保育士に向いていない人の特徴は?
自分のアイデアを積極的に取り入れたい方や、柔軟な保育スタイルを好む方は窮屈に感じる方も。
一度私立保育園の園見学などに行き、自分がどんな方針の保育に興味があるのか確認するとよさそうです。
自宅周辺の私立保育園の園見学に申し込むQ.公立保育士を1年で辞めても転職できますか?
ただし、勤続1年未満での退職は理由を聞かれることがほとんどです。「次にどんな保育をしたいか」を前向きに伝えられるよう、しっかり準備しておきましょう。
Q.公立保育士を辞めて後悔する人はいますか?
大切なのは「辞めること」自体ではなく、「どれだけ準備して決断したか」です。
Q.心身の不調(うつ症状など)がある場合はどうすれば?
心身が限界のまま働き続けると回復に時間がかかることもあるため、早めの受診を検討してみましょう。
Q.辞めると決める前に転職エージェントに相談してもいい?
相談内容が現在の職場に漏れることはないため、在職中でも安心して利用できます。
お悩み無料相談Q.辞めたあとに、また保育士として働くことはできますか?
保育士は国家資格であり、一度取得すれば生涯有効です。他業種で働いた後に保育の現場に戻る方もたくさんいます。
あなたに合った選択肢を!人気の職場・非公開求人をチェック辞めるにしても続けるにしても、「納得できる選択」が一番大切
公立保育士を辞めたいと感じることは、決して甘えではありません。
人間関係の悩み、異動への疲弊、キャリアの停滞感、事務作業の多さ、保育の自由度の低さ。こうした理由の背景には、公立保育園ならではの構造的な課題があります。
大切なのは、感情だけで判断せず、自分の気持ちと状況を丁寧に整理したうえで、納得のいく決断をすること。
辞める選択も、続ける選択も、あなたが「これでよかった」と思えることが重要です。
もし辞めるべきか迷ったら、保育士バンク!にお気軽にご相談くださいね。保育士としてのキャリアを積んでいきたい職場を一緒に見つけていきましょう。
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