ピアジェの保存の概念とは?保存課題の具体例と保育現場で活かす遊び・声かけのポイント

    ピアジェが提唱した『保存の概念』とは、物の見た目が変わっても数や量は変わらないと理解できる認知発達の段階です。保育園に通う幼児期はこの力がまだ未発達なため、日々の保育での関わり方が重要になります。今回は、保存の概念の定義や保存課題の具体例、獲得する時期の目安、そして水遊びや声かけなど保育現場で活かせるアイデアと配慮のポイントを解説します。

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    この記事でわかること
    • ピアジェの保存の概念と発達理論とは?身につく年齢の目安 ▼詳細
    • 保育現場で実践するポイントをわかりやすく解説 ▼詳細
    • 子どもの思考力を伸ばす遊びと声かけの具体例 ▼詳細

    ピアジェの発達理論と「保存の概念」の関係

    子どもの認知発達について研究し、発達心理学の分野に大きな影響を与えたのが、スイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)です。

    ピアジェは、子どもがどのように物事を理解し、考えを発達させていくのかを観察し、その成長を4つの発達段階に分類しました。

    この4つの段階は、「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」とされています。これは子どもの思考が単純な感覚的理解から、少しずつ論理的・抽象的な思考へと発展していく過程と考えられます。

    特に、幼児期の子どもは目に見える変化に影響を受けやすく、物の見た目や形が変わると中身の量まで変わったと考えがちです。これは、目に見えるものを論理的にとらえる力がまだ発達していないためでしょう。

    ピアジェは、年齢に応じてこの状態から「目に見える形が変わっても、物の本質的な性質は変わらない」という考えを段階的に獲得し、理解できるようになる発達段階を「保存の概念」として定義づけました。

    たとえば「コップの大小が変わっても中身の水の量は変わらない」「複数枚のコインを重ねておいても横に並べておいても枚数は変わらない」のように、見た目にとらわれず論理的に認識できることなどが該当するでしょう。

    この発達過程を理解しておくことで、保育士は子どもがどの段階にいるのかを把握し、発達を支援する適切な声かけや遊びを取り入れることができます。

    ピアジェの発達理論の4段階

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    ピアジェは、子どもの発達を次のような段階に分けて考えました。

    ■【0~2歳】感覚運動期
    生まれたばかりの子どもは、五感や身体を使って環境を探り、学びます。この時期には「物が見えなくなっても存在している」と理解する対象の永続性が形成されます。

    ■【2~7歳】前操作期
    言葉やイメージを使って考える力が芽生える一方で、論理的な思考はまだ十分に発達していない段階でしょう。また、物事を自分中心でとらえやすく、他者の視点を考えることが難しい傾向がありますが、「ごっこ遊び」などを通して豊かな想像力を発揮する時期でもあります。

    ■【7~11歳】具体的操作期
    数量や順序、大きさなどを論理的に理解する力が発達する段階です。たとえば「ブロックを並べ直しても全体の数は変わらない」と気づくようになります。この時期には自己中心性が薄れ、他者の視点を考慮した行動ができるようになるのが特徴です。

    ■【12歳以降】形式的操作期
    抽象的で複雑な問題について考えたり、仮説を立てて検証したりする能力が発達するでしょう。この段階では、自分や社会について深く考える力が育ち、より高度な論理的思考が可能になります。

    ピアジェの発達理論を理解することは、子どもがどのように他者の視点を受け入れ、社会性を発達させていくのかを知るうえで役に立ちそうですね。

    ここからは「保存の概念」を獲得していく過程にある幼児期の子どもとの関わり方について考えながら、保育現場での活かし方について見ていきましょう。

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    【保存の概念】定義と子どもの変化

    「保存の概念」は「前操作期」の特徴である、「見た目の変化にとらわれる思考」から成長し、「物の本質的な性質が変わらない」ことを理解できる発達段階を指します。

    この変化は、子どもの認知の発達において重要なターニングポイントであり、論理的思考を育むうえで欠かせない過程と言われます。

    変化の特徴

    0歳から6歳の子どもたちは、まだ「保存の概念」が十分に発達していない段階にあるでしょう。

    特に2歳から6歳の「前操作期」の子どもは、物の見た目が変わると、その量や数、大きさも変わると考える傾向があります。これは『保存性の未発達』と呼ばれる前操作期の特徴です。目に見える情報をそのまま受け止める発達段階にあるためといわれています。

    しかし、成長とともに「見た目が変わっても、本質的な性質は変わらない」ことを段階的に理解しはじめるでしょう。

    保育でこの過程を支えるには、活動や生活のなかで身近な物の量や数のとらえ方を体験し、「保存の概念」に気づく機会を増やしていけるとよいかもしれません。

    保存の概念の身近な例としては、「コップの形が変わっても中の水の量は同じ」「粘土を丸めても伸ばしても重さは変わらない」「コインを広げて並べても重ねても枚数は同じ」などがあります。

    これらの理解はおよそ7歳前後から段階的に進み、数・長さの保存は比較的早く、面積・重さの保存はやや遅れて獲得されるといわれています。

    「保存の概念」を獲得する過程の子どもへの配慮

    保育園に通う年齢の子どもたちは、まだ「保存の概念」を十分に理解できる段階にはなく、目に見える変化に強く影響を受けやすい段階です。そのため、保育士さんはこの発達段階を理解し、子どもが自ら気づく機会を増やすことを意識できるとよいでしょう。

    たとえば、以下のような対応を意識してみましょう。

    • 目の前の変化に驚く反応を否定しない
    • 遊びや実験を通して「見た目が変わっても物の質量は変化しない」ことを体験する
    • 子どものペースを尊重し、段階に応じた声かけをする
    • 日常生活の中で自然に学ぶ場面を作る

    「保存の概念」の理解には個人差があり、すぐに理解できる子もいれば、長く時間がかかる子もいます。子どもが混乱しているときはわかりやすい言葉で問いかけたり、保存の概念を体感するために量や数を確認したりすることで、無理なく気づきをうながせるようになります。

    なお、子どもが保存の概念を獲得しているかどうかを確認するための心理テストは「保存課題」と呼ばれ、保育士試験でも頻出のテーマです。代表的な保存課題には、同じ量の水を異なる形の容器に移し替えて「どちらが多いか」を尋ねるものがあるため、試験を受けられる方はチェックしておくとよいですね。

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    【ピアジェの保存の概念】保育・教育現場で活かすアイデア

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    子どもたちの「保存の概念」を育むには、物の見た目の変化だけにとらわれず、その本質を考える力を自然に学べるような遊びや活動を取り入れることが効果的です。

    普段の保育・教育の現場で行っている活動を「保存の概念を育てる」という視点で見ていきましょう。

    水遊びや砂遊び

    水遊びや砂遊びは、物の量が変わらないことを体験するのに最適な活動といえそうです。

    たとえば、バケツから違う形の容器に水を移し替えたり、砂をさまざまな型に詰めて形を変えたりすることで、子どもたちは「形が変わっても量は同じ」ということを実体験として獲得できるでしょう。

    このような遊びを通じて、子どもたちは楽しみながら「保存の概念」を自然に学べそうですね。

    積み木やブロック遊び

    積み木やブロックを使って形を変えながら遊ぶことで、物の量や大きさが変わらないことを理解しやすくなります。「このブロックを広げて並べたらどうなるかな?」と問いかけることで、子どもが自ら考え、発見する機会を作ることができます。

    また、積み木を並べる位置や形を変えても、同じ数の積み木であることを意識させることで、数に対する感覚も育まれそうです。

    比較や実験を取り入れる

    実際に子どもたちが「見て・触って・試す」ことができる活動も、「保存の概念」を育てるうえでとても効果的な方法の一つといえるでしょう。

    たとえば、同じ量の水を異なる形の容器に入れて「どっちが多いと思う?」と聞いたり、粘土を伸ばしたり広げたりしながら「元の粘土から増えた?減ったかな?」と考える機会を作ったりするような問いかけから始めてもよさそうです。

    実験を行ううえで大切な「仮説を立てて、結果を導き出す」過程のなかで、驚きや新たな発見を体感することができると、より子どもたちの成長をうながす活動につながります。

    このような活動を通じて、子どもたちは視覚的な違いに惑わされずに論理的に判断する力を養っていけるでしょう。

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    【ピアジェの保存の概念】保育・教育現場で気をつけたいポイント

    保育・教育現場では、日々の声かけやはたらきかけを意識することで、子どもたちの「保存の概念」の獲得をうながすことができそうです。

    日常の保育では、次のようなポイントを意識してみましょう。

    子どもが考える時間をつくる

    「保存の概念」を理解するためには、子ども自身が「どうして?」「なぜ?」と考える時間が必要でしょう。大人がすぐに答えを教えるのではなく、子どもが自分で気づく機会を作れるとよいかもしれません。

    たとえば、うがい用のコップから、大きなグラスに水を移し替えて「このお水増えたかな?減ったかな?」とクイズ形式で質問するなど、子どもが考える時間を作ってみましょう。

    このような体験を重ねていくと、自分の目で確かめようとする姿勢を育てることができそうです。

    また、答えがすぐに出せない場合でも、「どうしてそう思ったの?」と尋ねることで、子どもが自分の考えを言葉にする経験を増やし、考える力を伸ばすことができるでしょう。

    日常の中で「保存の概念」を意識する

    子どもたちは、生活の中で自然と学びを深めていきます。そのため「保存の概念」を意識する機会を日常のなにげない場面に取り入れられるとよいでしょう。

    一例として、給食の時間に「ちがうお皿でもご飯の量は同じだね」と声をかけたり、保育室のなかに散らかっていたブロックをおもちゃ箱に片付けながら「たくさんあったブロックが箱に全部入っちゃった!」と言葉にしたりすることで、実生活の中で「保存の概念」を意識する機会を作ることができそうです。

    特別な教材を用意する必要はなく、普段の生活のなかでの声かけや体験の工夫で、子どもの気づきをうながすことができるでしょう。

    個々のペースに合わせた支援をする

    子どもによって「保存の概念」を理解するスピードには個人差があります。早い段階で理解できる子もいれば、じっくり経験を積みながら少しずつ学んでいく子もいます。

    そのため、それぞれの発達段階に応じた適切な声かけやサポートを行い、無理なく概念を習得できる環境を整えることが大切です。

    「保存の概念」の発達を保育のなかで支えることが、子どもたちが論理的思考力を獲得できるはたらきかけになりそうです。日々の保育で小さな気づきを大切にしながら、子どもの成長を支えていきましょう。

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    ピアジェの発達理論に関する質問

    Q. 保存の概念とは何ですか?わかりやすく教えてください。

    A. 保存の概念とは、物の見た目や形が変わっても、数や量といった本質的な性質は変わらないと理解できる認知発達の段階を指します。

    スイスの心理学者ピアジェが提唱しました。

    たとえば、同じ量の水を太いコップから細いコップに移すと水面の高さは変わりますが、水の量自体は変わりません。

    この「見た目に惑わされず本質をとらえる力」が保存の概念です。

    保育現場では、2〜6歳の前操作期の子どもがこの力をまだ獲得していない段階にあるため、見た目の変化に驚いたり混乱したりする姿がよく見られます。

    Q. 保存課題とはどんなテストですか?

    A. 保存課題とは、子どもが保存の概念を獲得しているかを確認するためにピアジェが考案した心理テストです。

    代表的な例は「同じ量の水を形の異なる容器に移し替えて、どちらが多いかを尋ねる」というものです。

    保存の概念が未発達な子どもは、水面が高い方を「多い」と答えます。

    保育士試験でも頻出のテーマであり、現場で子どもの認知発達の段階を把握する手がかりにもなります。

    Q. 保存の概念は何歳ごろに獲得できますか?

    A. ピアジェの理論では、7歳前後(具体的操作期)から段階的に獲得されるとされています。

    ただし、数や長さの保存は7〜8歳頃、面積や重さの保存は9〜10歳頃と、概念の種類によって獲得時期に差があります。

    同じ年齢でも子どもによって理解のスピードには個人差があるため、保育現場では「まだできない」と焦らず、遊びや生活の中で体験を重ねることが大切です。

    Q. ピアジェの4つの発達段階のうち、保存の概念はどこに関係しますか?

    A. 保存の概念は、主に第2段階の「前操作期(2〜7歳)」と第3段階の「具体的操作期(7〜11歳)」の境目に深く関わります。

    前操作期の子どもは見た目の変化に影響されやすく、保存の概念がまだ未発達です。

    具体的操作期に入ると論理的思考が発達し、形が変わっても量は同じという理解ができるようになります。

    保育園に通う年齢の子どもはまさにこの過渡期にあるため、保育士がこの発達段階を理解して関わることが重要です。

    Q. 保存の概念を保育の中でどう活かせばいいですか?

    A. 日常の遊びや生活場面を「保存の概念に気づくきっかけ」として意識的に活用することが効果的です。

    たとえば、水遊びで異なる容器に水を移し替えたり、給食の時間に「お皿の形が違っても量は同じだね」と声をかけたりするだけで、子どもが体験を通じて学ぶ機会になります。

    特別な教材は必要なく、日常の中の小さな問いかけの積み重ねが、子どもの論理的思考の土台を育みます。

    Q. 発達理論を活かした保育がしたいけれど、今の園では難しい場合はどうすればいい?

    A. 園の保育方針によって、発達理論を日常の保育にどこまで取り入れられるかは大きく異なります。

    「もっと子どもの発達に丁寧に向き合いたい」と感じたら、他の園の保育方針や実際の働き方を知ることが第一歩です。

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    ピアジェの保存の概念は保育のなかで育てよう

    子どもたちは、経験を積み重ねることで「見た目が変わっても本質は変わらない」という考え方を少しずつ身につけていきます。

    発達の過程にある幼児期は「保存の概念」を、時間をかけて育むための大切な期間ととらえて関わっていけるとよいでしょう。

    保育士さんが発達段階をしっかり理解したうえで、適切なはたらきかけを行うことで、子どもたちの論理的思考の基盤を育むことにつなげたいですね。

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