育休退園とは、育休中に下の子の出産後、保育園に通う上の子が退園しなければならない状況のことをいいます。各自治体によって継続利用の条件がさまざまで「退園を避けたい」と悩む保護者の方もいるようです。今回は育休退園の概要や回避する方法を詳しく紹介します。育休退園問題の起因となる保育士不足解消への対策もまとめました。
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育休退園とは
育休退園とは、保護者が下の子を出産する際に育児休業を取ると、保育園に通う上の子が退園しなくてはならなくなることをいいます。
内閣府の資料によれば、「育児休業の取得時にすでに保育園を利用している子どもがいる場合は継続利用が可能である」と示されているものの、継続利用の条件や期間などは各自治体の判断にゆだねられているのです。
そのため、「育児休業に入ると上の子が2歳児未満の場合は退園しなければならない」「下の子が1歳の誕生日を迎える前日までは継続利用できる」など、各自治体によって対応が異なることが問題視されています。
そもそも下の子の出産後、上の子を保育園へ通わせたいという保護者の方はどのような思いを抱いているのでしょうか。
保護者
「生後間もない下の子の授乳やおむつ替えなどのお世話が大変」
「下の子のお世話に時間がかかり、上の子のケアが難しい」
保護者
「上の子が退園することで友だちと遊べなくなり、寂しい思いをさせてしまう」
「育休後に兄弟を同時入園させられる園が見つけるのが難しい」
上記のように、下の子の出産後に環境が変わることで、保護者や子どもの心身の負担の増加が不安視されています。
そのため、育休退園に対して厳しいルールがある地域に住む保護者の方々からは「育休退園のルールを見直してほしい」という切実な声があがっているようです。
なぜ育休退園が必要なのか
下の子の出産後の育休中に上の子が退園しなければならないのは、どのような理由が挙げられるのでしょう。
1歳児の途中入園の機会を増やしたい
地域によっては1歳児の利用者が多く、他の保護者が復職し、途中入園できるように環境を整備している場合があるようです。
そのため、地域の実情を考え、育児休業を申し出る家庭には上の子が2歳未満の場合は退園をお願いすることも…。
自治体は多くの家庭が保育園を利用できるように調整しなければならず、保育環境を整えるために苦渋の決断をせざるを得ないのかもしれません。
保育士人材不足
全国的に保育士の人手不足が解消されていない状況が続いています。
自治体によっては子どものお世話をする保育士が確保できないことから、育休退園に関して厳しいルールを適用する場合がありそうです。
育休退園問題の解消に向けて保育士の確保が求められていますが、慢性的な人手不足が続く今、改善には時間がかかるかもしれません。
育休退園を回避するにはどうする?
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育休退園は自治体によって対応法が異なり、各地域の実情を考えるとすぐにルールが緩和されるのは難しいかもしれません。
そのため、保護者の方は育休退園に向けて以下の対策をとるとよさそうです。
再入園の優先枠を確認する
育休退園になった場合は再入園の優先枠をチェックすることが大切になりそうです。
通園していた保育園に育休終了後に優先的に再入園できるのかを聞いておくとよいでしょう。
実際にその枠を利用して兄弟2人ともスムーズに再入園できたというケースもあるようです。
保育継続理由を明確に書く
保育の必要性の認定に向けて、育休中も上の子の保育が必要であることを示さなければなりません。
保育が必要である状態を明確に伝えることで退園を回避できるケースもあるため、認定項目をしっかり確認したうえで、継続が必要な理由をきちんと記入しましょう。
育休退園問題の解消対策~保育士の人材の確保~
先述の通り、育休退園問題の解消のためには、まず子どもを預かる保育施設側の人材の確保が必要です。
最後に保育士人材の確保に向けた対策をまとめました。
賃金の底上げ
2022年の東京都保育士実態調査報告によれば、約6割の保育士さんが「給料の安さ」を理由に退職しています。
手取り平均15万円前後で働く方もいるため、責任や仕事量と給与が見合わないという理由から、現場を離れてしまうことが考えられます。
国は保育士の処遇改善に向けて月額平均9000円(収入の3%程度)の給与引き上げを実施していますが、さらなる賃金の底上げは保育士の人材確保にとって急務でしょう。
職場環境の改善
保育士は低賃金で仕事量が多いというイメージが定着している中で、職場環境の改善が求められているでしょう。
保育士さん
おたよりや指導案作成など書類仕事が多く、残業が続いています。
保育士さん
感染対策が大変で消毒作業や衛生管理に追われています。仕事量が増えても人は増えません。
このようにさまざまな不満を抱いて辞める保育士さんも多く、保育施設全体で職場環境の改善が重要でしょう。
各保育施設が現在の課題を把握し、業務のICT化や行事の縮小、作成書類の削減などに取り組むことが大切かもしれません。
出典:「子ども・子育て支援法に基づく教育・保育給付認定等並びに特定教育・保育施設及び特定 地域型保育事業者の確認に係る留意事項等について」の一部改正について(通知)/内閣府
出典:2023年度予算案における公定価格の対応等について/厚生労働省
育休退園の問題や対策を知ろう
共働き家庭が増える中、育休退園問題の解消に向けた取り組みは重要でしょう。
子育て支援を強化するためには保育士の人材確保や職場環境の改善が求められます。
育休退園の問題を知り、社会全体で問題の解消に向けて取り組む必要があるでしょう。
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