2023年にこども家庭庁が発足し、2024年に向けて「こども大綱」が策定されるとのニュースを耳にした保育士さんも多いのではないでしょうか。子どもに関わる仕事をしている以上、気になりますよね。この「こども大綱」とはどんな内容なのか、目的、読み方、現状と今後の動きについてもまとめました。
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こども大綱の概要
ニュースで耳にする「こども大綱」ってなに?と気になっている保育士さんもいるでしょう。
「大綱」は「たいこう」と読み、「事柄の根本となる骨組み」という意味を持っています。
2023年4月に子ども家庭庁が発足し、それにともない政府が「子どもに関連する政策」の基本方針をまとめました。 現時点では、これを「こども大綱」と名付けて策定する準備がすすめられています。
こども大綱が解決したい課題
この「こども大綱」は、以下の社会問題へのアプローチが三本柱となっています。
- 少子化対策
- 子ども・若者育成支援
- 子どもの貧困対策
これらの課題に対しては、これまで別々の問題として捉えられてきました。それがまとめられ、複合的に解決へつなげられるとしたことで、大きな注目を集めました。
また同様に、前述した「こども家庭庁」の発足もこれに大きく関わっています。
これまで、子どもを取り巻く行政分野は内閣府や厚生労働省、文科省などがばらばらに担っていました。こども家庭庁は、その一元化を目的に設立された内閣府外局です。
この「こども家庭庁」が中心となって、今後「こども大綱」の内容が制定されていくことになります。
こども大綱の目的
こども大綱の策定目的を知るにあたって大事なのが、その前提となる「こども基本法」です。
「こども基本法」は、こども大綱やこどもたちの意見の反映といった「こども施策」について策定されたものです。こども施策を社会全体で推進するために2023年4月から施行されています。
以下の「6つの基本理念」が、こども基本法の基盤 となります。
この「こども基本法」を前提に策定されるこども大綱の目的は、「こどもまんなか社会」を実現していくこととされています。
こども大綱と「こどもまんなか」の理念については、こども家庭庁による審議会の中間整理をまとめた資料で以下のように述べられています。
こども大綱は、おとなが中心になっていたこの国や社会のかたちを「こどもまんなか」へと変えていくため、政府がどのようにこども施策を進めていくかをまとめるものである。(中略)こども・若者の声をしっかりと受け止めて、こども・若者と一緒になって、こどもや若者にとって最も良いことが何かを考えて策定されるこども大綱は、「こどもまんなか社会」への大きな一歩と言えよう。
このように、こども大綱が正しく策定・推進されることで「こどもまんなか社会」の実現につながる仕組み がのぞまれているようです。
こども大綱「6つの基本方針」
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こども家庭庁が行なった、こども家庭審議会総会や基本政策部会、分科会・部会による審議をもとに、2023年9月にこども大綱の策定に向けての中間整理が資料としてまとめられています。
この資料では、こども大綱の策定に資する6つの基本方針が明示されました。
(1)こども・若者を権利の主体として認識し、多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、いまとこれからの最善の利益を図る
(2)こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、意見を聴き、対話しながら共に考えていく
(3)こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する
(4)良好な生育環境を確保し、格差や貧困の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする
(5)若い世代の生活基盤の安定を図り、多様な価値観を前提として、若い世代の視点に立ち結婚・子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路の打破に取り組む
(6)施策の総合性を確保し、省庁、自治体、民間団体等との連携を重視する
ほかにも、上記の基本方針を実現するための重要事項として、子どもの成長や子育ての段階に応じた以下の支援を強化 すると発表しました。
- 妊娠・出産から切れ目のない保健・医療の提供
- 困窮世帯の子どもへの教育支援
- 障害児や医療的ケア児への支援
- 児童虐待や子どもの自殺防止対策強化
そのうえで、今後定められる施策にあたっては、それぞれに達成数値目標を定め、安定的な財源確保を政府に要請していくことが述べられました。
こども大綱の制定に向けた今後の動き
現在は、2023年9月に発表された中間整理に対するパブリックコメントを募集しています。
パブリックコメントとは、国や行政が政策を実施するにあたって政令や省令を定める前に案を公表し、国民から広く意見・情報を募集する制度(意見公募手続)です。
このように、こども基本法をもとにしたこども大綱の決定過程には、子ども・若者や子育て世代といった当事者の声などによる参画が求められています。
今後の動きとしては、このパブリックコメントの結果を踏まえて2023年11月に答申がまとめられ、今後5年を見据えた政策の方向性を定めたのち、年末には閣議決定される見通しと言われています。
出典:今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等/こども家庭庁
保育士さんもこども大綱の策定に参加できる!
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今後、策定されていく「こども大綱」を知るために、その目的や大綱のもととなるこども基本法、また6つの基本方針について解説してきました。
現在進行形で策定の過程にある「こども大綱」。子どもや保育現場を取り巻く環境についてパブリックコメントなどで保育士さんの声を届ける機会もありますので、今後の動向にも注目したいですね。
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